いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「小説が書けないアイツに書かせる方法」アサウラ(電撃文庫)

自らの性の悩み――勃起できない事。勃起不全に対する悩みと家族、主にイケてる姉と従順な妹を描いた小説で新人賞を受賞した『月野シズク』こと、月岡零。男子高校生である彼は、内容が内容のために周りには作家である事を隠して活動していたのだが、デビュー作を超える次回作が思いつかず書けずにいた。
悩み続ける彼の前に一之瀬琥珀と名乗る巨乳美女が現れる。そして……
「私の考えた小説を書かなければあなたが月野シズクである事をバラす」と脅迫されてしまうのだった。
彼女の目的がわからず困惑するものの零は従うフリをしてその内容を聞く。
すると今まで一度も反応しなかった零の男根が謎の反応を示すのだった。
これは一之瀬琥珀による脅迫と創作の月野シズクの記録である――。


タイトルにやや不備があるようですね。
(体験しないと)小説が書けない(勃たない)アイツに(触手エロ小説)を書かせる方法←これが正解。
……ド変態たちが蔓延るド下ネタエロコメディじゃねーか!
リコリコ目当ての客が、隣に置いてある同作者の作品だからと手に取って読んだら卒倒するんじゃなかろうか。

自身の闘病記録を冗談半分で投稿したら何の間違いか賞を取り作家になってしまった勃起不全の高校生男子と、性癖がかなーり特殊なお嬢様女子大生が、二人三脚で小説を書き上げる青春?小説。
下着姿になったり、作品の出来を勃つか勃たないかで評したりするのはまだ序の口。コンニャクやういろうで触手プレイを実践したり、濃厚なキスシーンを演じてみたり、フランス書院ラノベじゃないのここまでやっていいの?と思わせる濃密なエロ描写に度肝を抜かれる。そういえば、かのシコルスキ・ジーライフを世に出したレーベルだったわ。
それでいて、自分の作品に対する愛情とこだわり、上手く書けないことへの苛立ちなど、創作にかける強い情熱を感じさせてくれるし、締め切りという死線を共に生還した二人からは、友情や恋慕なんて生ぬるく感じる戦友然とした二人の絆に胸が熱くなる。創作ものの青春小説として文句のないクオリティー
股間は硬くなり胸は熱くなる怪作にして傑作。面白い。面白いんだけど……やっぱりアサウラ先生は何故か負けた気分になる小説を書く天才だ。