いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔法科高校の劣等生 Appendix (2)」佐島勤(電撃文庫)

『夏の休日』――2095年夏、達也たちは、雫から軽井沢の別荘へ招待を受ける。軽井沢を満喫する達也たちだが、ほのかと雫にはある思惑があるようで――。
『十一月のハロウィンパーティ』――横浜事変の収束後、真由美の提案でハロウィンパーティが行われることになるのだが……。
『美少女魔法戦士プラズマリーナ』――スターズ候補生部隊『スターライト』に所属したリーナ。部隊の卒業課題として与えられた任務は魔法少女になること!?
『IF』――これは起こりえたかもしれない可能性の一つ。深雪や真由美が歌って、踊る、アイドルになって芸能活動!?
『続・追憶編』――2092年12月。中学生の達也と深雪は、深雪の「ニブルヘイム」の特訓をするため、巳焼島という小島を訪れる。
『メランコリック・バースデー』――2096年3月24日。婚姻が可能な16歳を迎える前日に、深雪は何を想うのか――。
『魔法科』10周年を記念した、BD/DVD特典小説などの電撃文庫化第2弾!

一つのオーパーツを使い異世界転生ものの連作形式だったAppendix (1)に対し、今回はそれぞれの話が独立している(前後編はあるが)、短編集らしい短編集。
ifと特別コスチューム多めの軽い前五話と、短いながらもシリーズの根幹で関わる重要で重めの後ろ二話の全七話。



夏の休日 ―Another―(前編)(後編)
内容:夏休み、雫に誘われ北山家の軽井沢の別荘へ
ほのかの恋の物語。5巻の南の島の話の山バージョン……ということをあとがきで知る。
深雪の振る舞いやほのかの台詞、雫父の言動に既視感があるのはそういうことか。



十一月のハロウィンパーティ
内容:生徒会主催の仮装パーティー
学園ものなら定番のイベントだけど、このシリーズだと珍しい。
お兄様、神(オーディン)になる。折角の仮装なのに挿絵がないのが残念だ。
達也はどれだけお菓子用意してたんだろう。上着が不自然に膨らんでそうw
幹比古と美月の順調なんだかそうじゃないんだか、判別不能な天然なやり取りが微笑ましい。流石このシリーズでは貴重な癒し枠。



美少女魔法戦士プリズマリーナ
内容:リーナ、一等星級に昇格を掛けた任務に挑む
タイトルがすでに面白い。
リーナはアメリカでも小学生の年からこんな扱いだったのか、不憫な。
こんなに可愛くてこんなに素直だったら大人が構いたくなるのは仕方がないよ、うん。今も達也と深雪のオモチャみたいなもんだし←



IF
内容:魔法師のイメージアップの為に深雪たちがアイドル活動をする
口絵、真由美先輩かよ! あ、いえ、大変可愛らしいと思いますよ……
深雪たちのアイドル活動を華やかに。ではなく、マスコミへの嫌悪感、芸能界への偏見、珍しく目に見えてイライラしている達也がメインの話になってる。達也の方々への辛辣なツッコミが面白い。
ただ、もう少しアイドル方向で遊んでも良かったと思うのだが。あと一発ネタにしては尺が長い。これに120頁も要らんて。



続・追憶編 ―凍てつく島―
内容:中学生深雪、ニブルヘイム習得の為、兄と巳焼島へ
短いながらも今回のハイライト。
深雪のお兄様第一主義を決定付けてしまったエピソード。
まあ、これだけ頼れる姿を見せられたらしょうがない、と思わせる達也無双だった。戦闘無しなのに。



メランコリック・バースデー
内容:深雪の十六歳の誕生日前夜
最愛の人が兄妹だった二人の胸の内を赤裸々に語る。
誕生日らしいハッピーさ皆無なのが、血に縛られた二人の境遇を物語る。
これは本編シリーズ完結前に読みたかったなあ。