いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「週末同じテント、先輩が近すぎて今夜も寝れない。」蒼機純(GA文庫)

「あなた、それはキャンプに対する冒涜よ?」
自他共に認めるインドア派の俺・黒山香月は渋々来ていた恒例の家族キャンプでとある女子に絡まれる。
四海道文香。学校一美人だけど、近寄りがたいことで有名な先輩。
――楽しむ努力をしてないのにつまらないと決めつけるのは勿体ない。
そう先輩に強引に誘われ、急きょ週末二人でキャンプをすることに!?
一緒にテントを設営したり、ご飯を作ったり。自然と近づく先輩との距離。そして、学校では見せない素顔を俺にだけ見せてきて――。
週末同じテントで始まる半同棲生活、北海道・小樽で過ごす第一夜。


インドア派の主人公が家族に連れられ嫌々行ったキャンプで、ソロキャンプを楽しむ美人な先輩と出会ったことから始まる、アウトドアラブコメ
北海道でキャンプなあらすじに惹かれて買ったが、GA文庫でそこまでガチなものは出てこないか。それでもラブコメとしては良かった。
憧れの先輩が自分だけに特別という定番のシチュエーションに、ゆるキャン△以降よくある題材ではあるものの、それなりに楽しめたのは主人公の性格によるところが大きい。
インドアにこだわりがあるものの、それに固執することなく効く耳を持っている。北海道に引っ越してきたばかりで友達はいないが、図書委員の先輩とも畑違いの野球部の先輩とも普通に会話できている。先生に意見できるくらいには引っ込み思案でもない。要するに普通の子。非モテ男子が主人公だと必要以上に卑屈でうんざりすることが多々あるが、本作の主人公は、初めての体験に対する感動や、女の子に対するドギマギなど、等身大な思春期男子の反応が楽しめるのがいいところ。
またヒロインも、完璧超人な第一印象から、話が進むごとにポンコツさや背伸びしてる感が出て来て、どんどんかわいく見えてくる。あと、ブラコン気味の妹ちゃんがかわいい(←ここ重要)
と、キャラ小説としては悪くないが、キャンプ小説としてみると今一つ。
特に舞台を北海道にしたのに、それがほとんど生かされていなかったのが残念。 
北海道を感じたのは、キャンプとあまり関係ない小樽観光(という名のただのデート)くらいで、逆に6月中旬の小樽の夜で夏みたいな薄着だったり、冬キャンプが好きだと言っていたり、本当に北海道の話してる?と思うところがちらほら。
というわけで、キャンプ部分は期待外れだったけど、少年が自分の知らないものに体験し人との繋がり広げていく、青春ラブコメとしては面白かった。