いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「俺、ツインテールになります。21 ~メモリアル・ツインテール~」水沢夢(ガガガ文庫)

アルティメギルとの最終決戦から数か月。散発的に襲来する野良エレメリアンの侵略から世界を守るため、ツインテイルズの戦いは続いていた。夏休みが間近に迫ったある日、彼らの前に不可思議なツインテール少女が現れる。彼女の名は観束双愛。その正体は、とある問題を解決するため20年後の未来からやって来た、総二の実の娘だった。彼女が追ってきた、世界を脅かす恐るべき事件の全貌とは!? 「俺ツイ」10周年記念に、テイルレッドたちがちょっとだけ帰ってきた! これは未来へと紡がれていく、メモリアルなツインテールの物語。


まさかの続刊、後日談その2の21巻が登場。
劇場版的なお祭り騒ぎだった20巻の次は、新たな敵と娘が未来からやってくるおまけOVA的な内容。作者はVシネマ枠的という表現だったけど、オールドアニメファンに馴染み深い表現はOVAだよね。
さて、その愛娘・双愛(そーら)ちゃん。当然のように誰の子かは明かされなかったが、これがヒロインたちの悪いとこばかりを抽出して受け継いでしまったような可愛いけれど大変大変残念な子で。まあ、彼女が未来の娘と明かした瞬間から「自分が母」で醜い争い始めるヒロインどもだからねえ。この母にしてこの子ありだなと(苦笑) そんななのに双愛の悩みが「キャラが立ってない」ってどうなってるんだ。……家庭環境が悪かったんだね。誰が母でもその罪は大きい。
そんな懐かしくも相変わらずな日常パートから、いざエレメリアンとの決戦となれば急にスイッチが入るのがこのシリーズ。
もう何度やったか分からないコッテコテのヒーローもの展開でも、熱く仕上げてくるのは流石の一言。当然、無駄にツインテールも入ってくるわけだけど。340ページはズルいわ。「ツインテール」だけで会話すな!www
そんな安心と信頼の「いつも通り」の中、最も胸を熱くしてくれたのが愛香とトゥアールの友情。
いつものようにどつき漫才をしている二人だが、ふとした瞬間に認め合ったり慰め合ったりと確かな友情を見せてくれる。その証拠とばかりに、戦闘では窮地からの二人でのパワーアップ。今回の表紙に相応しい主役・テイルレッドを食う活躍だった。本来なら出会うことがなかった二人が親友になっている事実を改めて尊く思う。双愛曰く、20年後も変わらずやっているようなので、苦笑いしつつも安心してしまった。
流石にもう次はないだろうとは思いつつ、続いても問題ない終わり方だったのでちょっと期待してしまう自分もいる。