いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「勇者になれなかった三馬鹿トリオは、今日も男飯を拵える 4」くろぬか(Mノベルス)

「魔獣肉を食べたら魔人になってしまう」はずだったこの世界。しかし、三馬鹿が森で助けた魔人の子・ノアの話はまったく異なるものだった…。でも、食欲の前では世界の常識なんか無力だ! ノアを迎えた「悪食」たちは、敵にプリップリのロブスターを求めて川に沈み、さらなる食を求め王蛇を狩る! 一方、カイルが森の中に隠れ里を見つけたり、勇者と聖女にも不穏な動きがあって――。
うま味ぎっしり異世界グルメストーリー!


漢気と人情で涙腺を、野性味溢れる男飯で食欲を攻めてくる異世界ファンタジー第4弾。
角煮が強すぎた。
男の子の夢ビーフジャーキーとか、庶民の夢ロブスターエビフライとか、読み物なのにソースの匂いが漂ってきそうな粉物二種とか、そそるものは他にもあったけれど、中盤で最大のよだれポイントを作り、最後にアイリのレポートでダメ押しされては陥落する他ない。腹を空かせた女性陣を拷問の如く焦らし、読者の腹が思わずなってしまうほど、じっくり煮込みやがって。鬼!悪魔!北山!
そんな読んでるだけで元気が出て胃腸の活動が活発になりそうな料理/食事パートとは裏腹に、ストーリーの方はシリアスモード。
彼らが異世界の呼ばれた元凶である「厄災」の実態と黒幕が見えてきて、物語が佳境に入ってた感じ。また、三馬鹿たちの悪食も孤児院の経営を含めて、表面上は上手くいっているようで、どこか一つ狂えば崩壊しかねない危うさがいくつも見えて不安を煽ってくる。
というわけで、クライマックス(第一部完)に向けての伏線張りに終始した繋ぎの回だったわけだけど、作者が続刊危ういみたいなことを呟いていたので、削って削ってガンガンストーリーを進めて来るかと思ったら、丁寧に進められていたのでホッと一安心。
ここまできたら第一部完までは完走してください。お願いします。