いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「百錬の覇王と聖約の戦乙女24」鷹山誠一(HJ文庫)

新天地にて《鋼》に謀反の兆し!? 過ぎたる文明を封印し、圧制を敷いていた宗主についに最後の刻が!!! ……というイベントを起こし、晴れて自由の身になった元《鋼》の大宗主・勇斗。貿易商にジョブチェンジしつつ、新たな旅路に出た一行は、キプロスなどを経由しつつ、その最終目的地を目指す。
一方で、後を託されたノゾムを始めとした勇斗の子供たちは、新時代を作るべく更なる戦いへと赴く!!
百錬の覇王、円環が廻る最終章!


【悲報】イングリットさん、口絵で綺麗な横乳を披露するも本編では一切出番なしorz

勇斗が《鋼》の大宗主を隠居して、悠々自適な商人生活に入る最終回。
長男ノゾムの成長をメインに据えて、勇斗と嫁たちは裏方に徹する話だったので、嫁たちの影は全体的に薄め。これはイングリットの出番がないのも仕方がないか。リネーアですら出番がないし。最後ぐらい思いっきりイチャイチャさせて欲しかった嫁キャラが何人かいるのだけど。
というわけで、話の中心は子供たちの世代。
勇斗と嫁たちの才能をそれぞれ部分的に受け継いだ子供たちが力を合わせて困難に立ち向かっていく姿に、長く読んできた読者も親心みたいなものを感じてしまう。ノゾムの能力は認めるけれど、それでもちょっと情けないかな。ガンバレ男の子。他はクセが強くて面白い子が多いけど、、、みんな父親に似なくて良かったわ←おい
そんな中で、中盤の間章といて1巻から縁の下の力持ちだったヨルゲンにスポットが当たったのが嬉しい。昔っから苦労人だったんだなあ。そんな人が勇斗の子供たちに目を細める好々爺している姿に心が温かくなる。
そして最後は始まりの地、日本へ。最後にここを選んだことと、子供たちの成長を見せて世代交代を進めたことで、世の中は巡っていく事を強く印象付けるラストになっていて、長い旅路の終わり、色々な思い出が思い浮かぶ大団円な結末が沁みる。
突然の異世界転移から乱世を勝ち抜き、沈みゆく島から島民を引き連れての大避難。波乱万丈という言葉では足りないほどの一代戦記で大冒険だった一人の少年の物語。最後まで見届けられて本当に良かった。足掛け10年のロングラン、完走お疲れ様でした。