いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件10」佐伯さん(GA文庫)

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件10 (GA文庫)

真昼の誕生日も過ぎ、冬休みが始まるとそこかしこでクリスマスの気配が感じられた。
サンタさんが来たことがないと言う真昼に、朝起きるとプレゼントがある時の喜びを味わってもらおうと画策する周。
真昼が幼い頃の思い出に密かに焦がれていると気付いた周は、たくさんの愛情を真昼に注ぎ彼女を満たすのだった。
恋人になってからも互いを思いやり、丁寧に大切に歩み寄る二人だが、成長して注目を浴びるようになった周に予想外の出来事が起こって--。
可愛らしい隣人との、甘くじれったい恋の物語。


二人で誕生会の後はみんなで誕生会。その後はクリスマスに年の瀬にバレンタインにとイベント目白押しな高校2年の冬編。
前回が誕生会で目一杯二人の時間を過ごしたのもあってか、今回は樹の家の問題が動いたり、バイト先の先輩の恋愛事情を見たりと、外に目を向けたお話。二人きりだとド安定にイチャイチャしてるだけになるから、そればかりになるのもね。
友人たちと誕生会&クリスマスは、真昼がいかに周囲に愛されているかがわかる話。
幸せな子供時代を過ごせなかったのをみんな知ってるから、ここぞとばかりにこぞって甘やかしていて、嬉しいようなむず痒いような。なんにせよ幸せを感じられるのはいいことです。ただ、あまりに愛されすぎな所為で周の反応が……。真昼は自分が重いことを自覚しているけど、周も大概だなと。ヤンデレの素質を感じる。
年の瀬は赤澤さん家の親子問題。アドバイザーはまさかの修斗(周父)
親の心子知らず、その逆もしかり。なんだけど、赤澤兄の状態を見る限りでも父の頭が昭和すぎるのが一番の問題なのは明らかなんだよなあ。誠実な人ではあるんだろうけど、このタイプは周りがどんなにいい譲歩や妥協案を出しても納得しないと思う。
ラストはバレンタイン、周くん告られイベントへ。
ブコメ的は多少の波風では揺れもしない安定期に、このイベントをやっても今更感しかないが、周の人としての成長という観点では必要な通過点だったのかな。自分を過小評価するにもほどがある周も、これで周囲が言っていることが分かっただろう。それに真昼の心配も。これで自己評価が少しでもマシになればいいのだけれど。
振ることになってしまった女子が相手を気遣える優しい子でよかった。いや、周を好きになるタイプだから自然とそうなるか。失恋はどうしても切ないものだけど、彼女のおかげで嫌な気分にならない綺麗な恋の終わりだったかと。
今回もべらぼうに可愛いヒロインと、優しい人たちの会話を堪能した。
次回は春かな? バイト参観、そろそろいいんじゃないでしょうか?