アニス暗殺を企んでいる者がいる!?
魔学都市が大いに賑わう一方、隣国・アーイレン帝国で不穏な動きがあった。当然ユフィが黙っていないが、当のアニスは少し違う様子で――
「私の暗殺についてなんだけど……いっそ実行させたらって思うんだよね」「――は?」
暗殺を企んでいるのはあくまで帝国の過激派。帝国との関係も踏まえ、敢えて計画を実行させて、彼らを捕らえようとするアニスとユフィだが、その中で自分たちの魔法革命が国外からどう見えていたのかを突き付けられる。王国を超え世界へ目を向ける二人。大人気王宮百合ファンタジー、新章突入!
世界進出!?な新章開幕の第9巻。
9巻にしてやっとお隣の大国・アーイレン帝国が登場。まだバタバタしているけど、国内の情勢に一定の目途が立って外に目を向ける余裕が出てきたってことかな。
国の腐った貴族社会を正す革命の物語でありながら、おまけに母親の仕事が外交がメインでありながら、他国の情報がほとんど開示されてこなかったこの作品。ついに国外の国際情勢と、外から見た王国が語られる時が来た。
・・・まさかパレッティア王国の立ち位置とパブリックイメージが「こわ、近寄らんとこ」だったとは。
畏怖のイメージの大部分が母上の所為な気もしないでもないけれど、国外だと魔法使いはほとんど生まれないのならそうなるのか。そんな歴然とした戦力差なので、あらすじにあるアニス暗殺計画が大事になるはずもなく、むしろ茶番にしかならず、本題はその後。表向きは即位の祝いで、目的は謝罪と交渉で訪れた皇帝との対面で、突きつけられたいくつかの提案と命題。これが新章のテーマなのだろう。
特に魔学と魔道具の軍事利用への懸念。周辺国としたら当然の指摘だが、人を信じるという曖昧な答えしか出せずにタイムアップ。新章の初めだし、アニスも転生者であっても明確に記憶を残しているタイプではないし、そもそも絶対正解な答えがない問題であるから、答えが出ないのは当然ではあるが。今後、アニスとしての答えを出さないとならないのは大変だなあ、、、作者が。
さて、我らが女王様は
アニスと会うたびにちゅっちゅしやがっておられました。いいぞもっとやれ……と言いたいところだけど、この状態ではいつも一緒だと公務もなにもなくなるな(苦笑) 二人を王都と魔学都市で分断したのは英断だったかもしれない。
次回二人+護衛で帝国へ。他所ではあまり羽目を外せないのでは? 百合成分の減少とユフィのメンタルが心配だ。