安達と暮らし始めてしばらく。近々わたしの誕生日だ。
「あ、チャイナドレスは禁止ね」
「えっ」
「あれはクリスマス用だから」
「そうだったんだ」
「そうなんですよ」
二人だけの行事が増えていくのは、そう、悪くない。
二人の日常のさらに日常。書き下ろし多数の短編集、第二弾。
たまに短編くらいの長さの話がありつつ基本は5ページ前後の掌編が集められたSS二冊目。しまむら視点の一章、安達視点の二章、その他視点の三章の三部構成。
しまむら視点はザ・日常。
誕生日を祝ったり、旅行の計画をしたり、風邪をひいたり、日々の何気ない一コマが切り取られている。当然、そのどれもが安達と一緒で。隣に安達がいることが極々当たり前のこととして日々が流れているのが、なんだかとってもいい感じ。じんわりと幸せを噛み締められる。
安達視点は安定のしまむらワールド。しまむらしか見てませんしね、安達ちゃん。
良かったのはしまむらがバイト先に来た時の話。店長にしまむらとの関係を聞かれた時の対応にちょっと感動。言うようになりましたなあ!
あとは印象に残るのはしまむら母との遭遇。安定のウザさw 娘と義娘の関係をいち早く見抜いて、その関係を許容している理解のある人だとは思うのだけど、それと誰彼構わずウザ絡みする悪癖は別問題よね(苦笑)
その他視点は日野永藤コンビや、しまむら家の人々の話。
意外性があったのがしまむら父視点のヤシロとの話。
父の適応力の高さと温かさが沁みる。それにしても懐が深い人だ。まあ、あの奥さんと結婚生活を送るには包容力とか忍耐力とか鈍感力とか、そういうものが化け物レベルじゃないと無理だよね。
……なんか、しまむら母のウザさについてばかりの感想になってないか? 奴は強すぎるんだ……キャラがw
同時発売の12巻もこちらも終わりそうな雰囲気を醸し出しているけど、なんだかんだで続くんだろうな。きっと。