12月の学校は、人が少なく静かだった。受験勉強に取り組みながらも、青春の残り時間を儚んで、悠太と沙季は惜しむように登校を続けていた。季節は廻り、受験が迫り、時の流れと抗えない変化の訪れを感じていく。そうして今年も終わりを迎えようとしていた。そんな中、太一と亜季子は受験を間近に控えた悠太と沙季を家に残し、綾瀬家の実家に帰省することに。
残された二人はまるで夫婦のような幸せな時間を過ごすことになり――。二人きりの年越し、受験本番、卒業式、思い出の家族写真、合格発表、秘密の添い寝。人生の壁を前に癒やし合う“兄妹”が次のステージへ向かっていく、恋愛生活小説、第13弾。
受験と卒業、高校生活の最後が矢のように過ぎ去っていく。忙しなく過ぎていく日々を切り取った13巻。
まずは受験から。
お互いの様子は気になるけれど、絶対プレッシャーにならないように言葉を選んで会話している様子など、時々元の二人の性格や距離感を感じるところがありながら、勉強漬けの毎日の中でも二人でいることが自然になっているのが随所に見えているのが嬉しい。
特にそう感じるのが二人きりなった年の瀬。過度に二人だということを意識しない自然な会話に、この二人にしてはちょっと進んだスキンシップ。コタツで肩を寄せ合って寝入る姿が愛おしい。
次は受験が終わって卒業式。但し合格発表はまだ。
式の気怠さをそのまま描写するのも実にこの作品らしいところだが、本番はその前と後。
卒業式当日の朝、二人でゆっくり歩いて登校しながら高校生活を思い起こすシーンがとても丁寧で、ここまでの二人の成長と変化をじっくりと思い起こさせてくれる。
卒業式後は打ち上げという名の駄弁り会と親との卒業記念の写真撮影へ。
気の置けない仲間たちの打ち上げは普段通りの雰囲気でこれでお別れという感じがしなかった。今後も付き合いそうな人が多いのと、悠太と紗季は関係が薄い人には興味ないからかな。一応これでも友達増えたんだよなあ。ところで、親友コンビは付き合ってることもう隠そうとしてないな、これ。
そして今回のハイライトは写真撮影の後。
沙希が始め、悠太が後追いで両親に感謝を告げるシーン。壊れた家族を間近で見てきた二人が家族という枠で幸せを感じ、家族を続けたい思えるようになった大事な節目。卒業よりもジーンときた。
次回、それぞれの一番大事な友達と4人で卒業旅行。そして大学生活へ。予告の一番ラスト一行がなかなかのインパクトなわけだけど……。なんにせよ大人になる二人の変化が楽しみ。カミングアウトのタイミングも気になるところだが、両親には、少なくともお母さんにはすでにバレてそう。
