同期社員でありながら住んでいるマンションが同じであることが発覚して以来、俺と秋津ひよりは半同棲のような生活を続けている。ご飯を一緒に食べるだけの仲であり男女の関係はない……はずだったのだが、もうそろそろ自分の気持ちを誤魔化すのも限界だと思う。
仕事から帰るのが遅くなった日でも、あの食欲モンスターと軽口を叩き合いながら一緒にご飯を食べるときは、いつも心が穏やかで。
かけがえのない瞬間をこれからも日常にしたくて。くだらなくも愛おしい毎日と、それを確かにしてくれる彼女を離したくなくて。
「なぁやっぱり好きだわ。ひより」
これは、同期社員たちの宿した恋心が確かに色づき始める話。
社畜の日常(主に食生活)と、押せ押せの彼女とそれをのらりくらりと躱す彼の様子を描いた社会人ラブコメ、完結。
web版からは主人公が一人の話をばっさりカットして、二巻で綺麗に収めていった。
主人公が一人なのは深夜のオフィスの話が多いので、社畜要素は大幅減、飯テロ要素も少し抑えめ、その分ラブコメを濃度濃いめに抽出しました、といったところ。深夜の背徳の間食の話が結構好きだったので、そこは少し残念。
そんなわけでラブコメ特化だった二巻は、それはもうイチャラブだった。まさにヒロイン・秋津ひより無双。
一緒に残業や水族館デートなんかもあったけど、最も甘さと幸せを感じるのが彼の部屋で二人で過ごす日常シーン。まあ、その8割は何か食べるか料理してるシーンなんですがね。
二人でいればそれだけで幸せ、そこに美味しいご飯があればもっと幸せ。その幸福感を全身で表現する彼女・ひよりと、口では文句を言いながら態度は優しさに溢れている彼氏・有のやり取りがとにかく甘い。その文句が多い口もたまに不意打ちでデレるのがズルい。
また、主人公に好意を寄せている後輩と元カノへのケジメもちゃんとしていったのが好印象。後輩ちゃんの振られた後の「でも好き」な切ない空気、これもラブコメの一つの醍醐味だよね。後輩エピソードではそれに加えて課長の細やかな気遣いが沁みる。
誤魔化しのない綺麗なラストシーン、文句なしのハッピーエンドで大満足。読んでいるだけで顔がにやけ心が温かくなる、幸せをいっぱいおすそ分けしてくれる物語。素敵な作品でした。
