武蔵野西高校(ムサニ)弓道同好会発足から一年、ついに弓道部への昇格が決まった。新入部員も集まり、弓道経験者の新たな顧問の先生も加わる。そして春の関東大会予選、インターハイ予選が近づいてきた。部長の楓と絶好調の善美たちは、部として迎える最初で最後の戦いに挑む。
青春”弓道”小説シリーズ第4弾!
新学期、楓と善美の高校生活最後の一年。楓たちが六人で作ってきた弓道同好会改め弓道部の環境が大きく目まぐるしく変わるシリーズ第4弾。
まずは関東大会の予選から。ここで女子が好成績を収めて関東大会出場を決めたことから同好会は弓道部に、それを引き金に弓道部の激動と楓の心労が始まる。
関東大会本番では競技者が3人から5人に変わり、新入生か直前に入部した二年生から二人選ばなけらばならない状況。大学弓道出身の上昇志向の強い男性教師の新顧問。関東大会出場の功績で押し寄せる新入部員。それに三年生には受験も待っている。
楓ちゃんがんばった。ちょーがんばった。
楓の性格上環境が変わるだけでも大きなストレスになっているだろうに、次から次へと起こる部内の問題に加えて、口を開くたびに勉強しろという母親の過度なプレッシャー。シリーズ開始当初の楓ならテンパって逃げていておかしくない状況に敢然と立ち向かっていた。
不満の多い一年生たちに言葉を選んできちんと説明する姿、遅れて入った二年生の真帆を説得する熱い言葉、経験者の先生に自分の考えを臆することなく言えている姿。そのどれもが立派で、部長として、それ以上に人として逞しくなっていた楓の姿に感動する。
この成長は部長としての責任感なのか、弓道をやってきたからこそ付いた度胸なのか。善美は楓にもっと感謝すべき。マイペースに我関せずで弓道に集中できているのは、周りの面倒ごとを楓が一手に引き受けてくれているからなのだから。
試合の張りつめた空気感や、実際の競技中のひりつくプレッシャーは相変わらずリアルで、この本作の醍醐味の弓道場の緊張感はしっかり味わえたし、何より主人公楓の成長をこれでもかと感じられる物語になっていて、大満足な一冊。団体としては駄目でも楓と善美が好成績だった大会の余韻もあっていい読後感……かと思ったら、善美の家族関係で一波乱ありそうで?
