高校を中退し、ボードゲームカフェ『クルマザ』で店長代理として働く生粋のボドゲオタク常盤孤太郎は、恋をしていた。
ボドゲ愛の欠片もない天敵のような女子高生ギャルバイト小鳥遊みふるに。想いに気付かない当人から進展を煽られるも――
「まずはサイコロを振らなきゃ、恋は始まらないぜ」
告白はありえない。なぜなら……みふるには超絶ラブラブなイケメン彼氏がいるのだから!
さらに孤太郎が想いを隠すため、みふるに伝えた嘘の好きな人――女流棋士の歌方月乃は、正体を隠して『クルマザ』に入り浸っている常連客で!?
誰もが秘密を抱え、あそびのかんけいを続けるラブコメ開幕。
葵せきな先生、実に5年ぶりの新シリーズ。
本作も前作『ゲーマーズ!』と同様に、すれ違いと勘違いが連鎖するややこしい恋愛青春群像劇。ボードゲームカフェに集う、高校を中退した訳ありの店長代理に、ギャルでパリピな訳ありの女子高生バイト、女子高生女流棋士(訳あり)の三角関係を軸に、時にボードゲームを楽しみ、時にシリアスな人間ドラマありの緩急激しいラブコメディが繰り広げられる。
ええ、人間関係を拗らせるのが大好きな作家さんですから(語弊あり)、もちろん全員“訳あり”ですとも。なんなら他に出てくるサブキャラも訳あり。しかも一人はクズめの。
ゲーマーズよりも登場人物を絞ったことで人間模様がより濃くなっているのはもちろん、登場人物は少なくなっているのに人間関係がより複雑で面倒くさくなっているという、奇跡的な相関図に苦笑いを禁じ得ない。天才かな?
それともう一つ大きな特徴として、メインの三人がとても“いい子”なこと。
生粋のオタク気質な主人公のバンショーに、ギャルでパリピな言動のみふると、融通の利かない堅物で間の悪い人な月乃のダブルヒロイン。それぞれに癖は強いけれど、根はやさしくて恋愛にも真摯で一途。特に主人公の自己犠牲の精神は切なくなるほど。
それぞれに苦労してそうで出来ればみんなで幸せに、誰にも泣いてほしくないのだけど、最低一人は泣くことになるんだろうなあ。
締めはせきな先生安定の大ボリュームあとがき(17ページ)。やったぜ! 最早伝統芸である。
