「全ての色彩を重ね合わせると、白になる。ぼくが目指すのは、全ての種族が共に暮らす『白き国』だ」。
たった七人からはじまった旅路は、いまや二万の大軍「白猫軍」となってトラム川を越えた。しかしガガが略奪を禁じたため、軍勢の大半を占めるジャムカジャ族は軍を脱走し周辺の街や村を荒らしはじめ、戦う前から白猫軍の戦力は半減することに。
一方、「北伐」を完遂し、事実上葡萄海の皇帝となったイリアスは黒薔薇騎士団の総力を結集して白猫軍との決戦に赴く。時間とともに戦力が減っていく白猫軍に対し、進むほどに貴族諸侯たちが集結し戦力を増していく黒薔薇騎士団。その先陣を務めるのは地上最強と称される「義」の継承者、「剣聖」アイオーンだった……。
決戦の地、リムノス平地にて遂に激突する白猫軍と黒薔薇騎士団。想像を絶するアイオーンの戦舞が戦場を炎と熱風の地獄へ変える。次々に倒れてゆく仲間たちは、なにを願い、なにを託すのか。
「恋と空戦の巨匠」犬村小六が、自身の全意思、全熱量を注ぎ込んで描く超大型ファンタジー群像劇、怒涛の第五弾!
二万にまで膨れ上がった白猫軍とイリアス率いる黒薔薇騎士団が早くも激突する激動の5巻。
陸の機械兵は57対1。空の戦力差はそれ以上。それでなくても覇者・黒薔薇騎士団が圧倒的有利の中、ならず者の寄せ集めな白猫団は戦い始めるころには半減。さらにはスパイの存在が明るみになり、勝ち負けではなくどうやって生き残るかが焦点なのでは?と戦々恐々としていたのだが、、、
いざ蓋を開けてみたら宝珠所持者が一堂に会した異能バトルが勃発。多くの兵たちはただの観客で、戦力差はあまり関係ない頂上決戦ならぬ超常決戦になっていた。派手ではあるが「なんだかなあ」という想いは拭えない。
そんなことより今回の衝撃は登場人物たちの退場多数と宝珠の変遷。
主役は若者たちだから、大人たちには早々にご退場願いますと言わんばかりの怒涛の退場劇。
その筆頭が黒薔薇騎士団イリアス。葡萄海を制圧しミーニャたちを迫害し着々と勢力を伸ばしているので、もっと野心のある人物なのかと思っていたのだが、一人の女性の思い出に執着するばかりで覇気がないというかなんというか。この父にしてこの子(ジャンジャック)ありって感じだ。
このシリーズの男たちは女性に優しく誠実なのはいいのだが、基本的に気概とか気骨とかそういうものが感じられない。一族の再興を目指した鼠はいたが姑息な小物過ぎてアルテミシアのオモチャで終わっちゃったし。
男らしさで言えばラギーだったんだが……今回でやりがい搾取で働き続ける社畜もとい白き国が出来るまで戦い続ける最凶の戦闘マシーンが爆誕してしまったので、もうそういう立ち回りはなさそう。シュシュ様も罪な人だ。
今や、最も男らしいのはアルテミシアなんじゃなかろうか。
