いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙 XIII 羊たちの宴 <下>」支倉凍砂(電撃文庫)

新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙XIII 羊たちの宴<下> (電撃文庫)

教会の改革を誓ったコルの決意は、ともに歩んできたミューリやハイランド、そして旅の途中で出会った仲間たちの支えによって揺るぎない意志へと変わった。
しかし、薄明の枢機卿に寄せられる民衆の期待が高まる一方で、教皇庁に潜入していたルティアとカナンは静かに蠢く異変に気付く。それは改革を快く思わぬ旧勢力による、禁断の聖遺物≪神の錫杖≫を用いた策謀だった。
「では、行きましょうか、羊たちの宴へ」
それぞれの思惑が渦巻く公会議、新たな時代を告げる舞台の幕が上がる――。
聖職者コルと賢狼の娘ミューリ、世界を変える冒険譚、堂々完結!


公会議の準備~本人たち編~から、公会議本番へ。正義の青年と狼の少女の世直し旅がついに完結するシリーズ13巻。
公会議が近づく世間の気運を見せる第一幕を過ぎると、出てくるのが玉葱や大蒜を齧り徹夜で公会議の草案を仕上げる覚悟ガンギマリのコル。主人公がしちゃいけない顔の挿絵に若干引きつつも、今回はやってくれそうだと期待値がグッと上がったんだけど・・・コル坊は最後までコル坊だったな、と。
活躍の場のはずの公会議ワンサイドゲームで、最終的に本人が最も苦手とする大立ち回りになってしまったから仕方がない面もあるのだけど。
しかし、まさか教会の本拠地でこんなに人ならざる者たちが大活躍な展開になるとは。鼠の船長・ヴァダンは影のMVPをあげたいくらい全編通して大車輪の活躍だったし、鯨のオータム老にここに来てこんなに大きな役目があるのは予想外。他にもこの旅であった多くの人ならざる者が出てきてオールスターの様相だった。こういうのも最終回の醍醐味の一つだ。
で、そうなると一番目立つのは当然ミューリなわけで。
有事になると足を止めてしまう兄を無理やりにでも動かし、騎士のように守り、煮え切らない兄の代わりに厳しいことを言い、最後は主人公の役目を果たさせる。なんて出来た嫁さんなんだ。特に決死の作戦前に覚悟が決まってからの一言と、狼になった後の奮闘は本当に格好良かった。
時々冴えるけど基本情けない主人公とぐいぐい引っ張っていく格好いいヒロイン。最後までこのスタイルを貫いていった。やっぱり、いつもの顔を見せてくれた方が最終回らしくていいな。
終幕は夢オチからの執筆オチで二段で煙に巻いてきたんだが、好きな方を選べってこと? でもまあこの二人なら後者だろう。
短編はあるかもって話なので、過度な期待をせずに待とう。