「全ての色彩を重ね合わせると、白になる。ぼくが目指すのは、全ての種族が共に暮らす『白き国』だ」。天下分け目の決戦「リムノスの戦い」に勝利した白猫軍はタイタス原野の盟主となり、敗北した黒薔薇騎士団はアテナ島へ撤退するが、騎士団長イリアスの後釜を巡って大貴族同士の後継者争いが始まってしまう。一方、かろうじて九死に一生を得たアルテミシアは顔半分を覆う火傷が治らず、自宅で引きこもり状態に。ジャンジャックとルシファーは献身的に看護するが、美貌を失ったアルテミシアの傷心は深く、以前からは見る影もないほど周囲に怯え、逃げ隠れてばかり。イリアスという後ろ盾を失ったアルテミシアに実権はなく、ディオクレイオス教皇はアルテミシアの聖珠を奪うことを画策する。そんな折り、聖珠継承を狙う大貴族マルマンドが計略を巡らし、アルテミシアを誘拐することに成功し……。戦え!殺せ!愛せ!死ね!生きよ!犬村ファンタジー戦記のトラウマ級進化形、第六弾!!
ガガに敗れ瀕死の重傷を負ったアルテミシア。自己の肉体を再生させるはずの「智」の聖珠が何故か十全に発動せず、左手の次は顔の半分に大火傷を負い引き篭もりに。そんな中、アルテミシアに宿る三つの聖珠を狙って、黒薔薇騎士団や聖ジュノー正教会の大人たちがその奪取を画策する。
構図としては汚い大人たちの醜い権力争いに子供たちが巻き込まれる話で、アルテミシアは捕らわれの姫ポディションにいるのだけど、まあ大人しくヒロイン枠に納まるようなキャラじゃないよね。途中、アルテミシアが聖珠に認められるために善行を積んでいたりしたので、白き国に相応しい表紙のように純白な人物になる可能性が?なんて思ったりもしたが、もちろんそんなことはなかった。それは解釈違いが過ぎるってもんだ。
終わってみれば醜い大人たち顔負けの真っ黒さにドン引き。アルテミシアはどこまで行ってもアルテミシアだった。やっぱり君は最強で最高のクソ女だ(誉め言葉) 子供を食い物にしようとしたら、その食い物が猛毒だった大人たちはご愁傷様ということで。
一方、こんなサブタイトルなのに株を大きく落としたのがジャンジャック。
『反逆のジャンジャック』。これは兄が妹のピンチに覚醒するとか何か強い信念を持って行動するとか、主役の一人として何かしら飛躍があると思ったんだが。蓋を開けてみたら状況に流されているだけ。大した準備もなしに勢いだけで反乱を起こし即敗北。たまたまタイミングが重なった白猫軍の横槍が無ければ本当にただの負け犬の犬死だった。そんなんだから、あっさり憎悪に染まっちゃうんだよ。
成り行きとはいえ第三勢力の台頭で事態は混沌としてきたが、あと2巻で完結らしい。ここからどうやって「白き国」に持って行くのか、今後の展開が楽しみ。
