いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「リコリス・リコイル Gluttony days」アサウラ(電撃文庫)

リコリス・リコイル Gluttony days (電撃文庫)

「喫茶リコリコの看板娘でぇすッ!」
今日も来客を告げるカウベルが、喫茶リコリコに鳴り響く――。
TVアニメシリーズでは描かれなかった錦木千束や井ノ上たきなたちの非日常をお届けするスピンオフ♪
少女の護衛任務はまさかの食い倒れツアー!? 千束が熱く語る「日本の味」っていったいなに? さらに、犬猿の仲のフキのために千束が料理教室を開講!
そして腹ペコのたきなを誘うクルミの夜食の世界、それは禁断の罪の味……!
予想通りには収まらないリコリスたちの日常を原案者自らが書き下ろす、満腹&大盛セットの新ノベルシリーズ第3弾!


Gluttony days=グラトニーデイズ=暴食の日々ということで、食にまつわる中編一編と短編二編が納められたリコリス・リコイル短編集第三弾。
暴食の冠名にふさわしく、第一話『ファントム・メネス』のスタートからいきなり二郎系ラーメン×JK(+幼女)という背徳的な組み合わせ。
二郎系ラーメンの視覚の暴力と、店の独自ルールと客層が醸し出す独特の空気感を文章で表現しきるのは、流石は『ベン・トー』の作者と言わざるを得ない。ただラーメンを食うだけなのに得も言われぬ緊張感。山盛りのどんぶりを前にして変な笑みを浮かべている千束の挿絵がむしろ癒しになっているという。
その後、たきなと刺客と死闘があったり、親子の愛の話があったりしたのだが、千束さんがマシマシにしたニンニクが全て上書きしていくという残念仕様。嗅覚の暴力もあったか……二郎は強すぎた。
第二話『フキの恩返し』は珍しく仕事でヘマしたフキが、フォローしてくれたサクラ(北国出身)に東京名物のもんじゃで恩返しする話。
もんじゃのエンタメ性をちゃんと出しつつ、東京の下町発祥の食べ物らしい義理と人情の話に繋がっていく展開が見事。そこに10代女子の友情も合わさって、緊張と口臭の第一話から一転してほっこりする話になっている。
ところで、フキさんにたきなさん、土手は必要です。作らないと液が際限なく広がっていくから。鉄板は平坦とは限らないんですよ!(決壊経験者)
ラスト第三話『ジ・アンリマーカブル・ナイト・イン・リコリコ』は、テッペン過ぎてからの夜食を食べるべきか食べざるべきか大いに悩む千束とたきなの話。深夜の夜食の背徳感とクルミという悪魔のささやきで堕落していく二人の様子が蠱惑的。。。うん、まあただのバカ話よねw
それにしても、クルミの食へのこだわりや興味の強さが意外だ。お金は持ってるだろうけど、良いものをお取り寄せするタイプとは思わなかった。
あと、この話の肝はドライヤー。女の子二人がキャッキャしながら髪を乾かし合ってるの、いいよね。
今回はリコリコの短編というよりは往年のアサウラ作品を読んでいる感じが強く、アサウラファンには嬉しい一冊だった。