いつも月夜に本と酒

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「転生王女と天才令嬢の魔法革命13」鴉ぴえろ(富士見ファンタジア文庫)

転生王女と天才令嬢の魔法革命13 (ファンタジア文庫)

アーイレン帝国での外遊を終え、パレッティア王国に帰ってきたアニスとユフィ。久々に帰ってきた王都で二人はこれまで出会ってきた人々が新たな道を歩み始めたことを知る。過去を乗り越え母と言葉を交わすティルティ、かつて自らが犯した罪と向き合うアルガルド――彼らとの再会を経て、歩んできた道を振り返った二人は、完成した魔学都市を前に宣言する。
「――皆! ここが! 夢と希望の始発点だよ!!
私は、この都市“アニスフィア”は! 貴方たちの背を押そう!
さぁ、私と一緒に未来を革命する準備は出来てるかい!!」
二人で紡いできた革命の物語が今、大団円を迎える――!


12巻の続きから。ドラゴンの問題が解決し、帝国から帰るところからスタート。
ちょっと予想外だった。一冊丸ごとエピローグと予告されていたので、物語はシリーズ全体のエピローグで、魔学都市が完成した後の話か、なんなら時が経ってアニスとユフィは表舞台からいなくなった状態からスタートすることも予想していたので。
話の中心はアニスとユフィ以外の主要キャラのその後。具体的には悪友ティルティの家族との仲直り。弟・アルガルドのケジメ。リカントの少女アクリルの義両親への挨拶……ん? まあ間違ってはいない。
魔法が思うように使えない侯爵家の御令嬢、アニスと似た境遇だからこそ真にアニスの味方だったティルティ。アニスに続いてティルティも報われるエピソードに、嬉しさよりもホッと胸を撫で下ろす想いが強い。アニスとの二人の会話は最後まで気安い毒舌のぶつけ合いで楽しく、それだけ信頼し合っているのが分かる。静と動、陰と陽で正反対の二人だけど、だからこそ良い影響を与え合っていたんだろうなって。
逆に、陽な姉にマイナスの影響を受けた人物だった弟のアルガルド。本人は相変わらずのクソ真面目で悲壮感ありありだったけど、アクリルというパートナーを得たことで、大丈夫だって思えるエピソードになっているが良かった。
それに最後にアニス一家勢揃いが見れたのもよかった。まさか真面目で厳しい母上がコメディ要員になるとは思わなかったけど。アニスは父似だと思っていたら、母にもちゃんと似てたのね・・・この一家の男性陣の苦労が偲ばれますw あとアクリルちゃんのフライングご挨拶が男前すぎる。
そして迎えたエンディング。
既に歴史になっていることに思いを馳せていたら、突然の爆弾投下ですべてが吹っ飛んだ。イリアさん、そこに居るってことはついにご決断なさいましたか。最後の百合供給はこっちか!
『転天』は清々しいほど真っすぐで理想が高い若者たちが、その真面目さが仇になって時に擦れ違い時に衝突して、それでも必死に藻掻いて理想を追い続ける。そんなイメージの物語だった。理想が高すぎて少々説教臭くなっている面もあるけれど、それもこのシリーズの味だったかと。最後まで理想と百合を貫いて走り切ってくれたアニスとユフィにお疲れ様を、最後まで熱い物語に仕上げてくれた鴉ぴえろ先生に感謝を。