いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「本屋さんのある街で」一穂ミチ、坂木司、瀬尾まいこ、凪良ゆう、三浦しをん(文春文庫)

本屋さんのある街で (文春文庫 ふ 53-2)

幼いころに読んでもらった絵本、はじめて自分で買った小説、発売が待ちきれなかった雑誌、人生を変えた一冊。本との出会いを心の栄養にして、ひとは成長していく。
ままならないことの多い人生に向き合いながら店をひらき、本を届け、お客さんを迎える街の本屋さん。
人気作家5人が書店への愛をこめて贈る珠玉のアンソロジー。


街の本屋さんにまつわる短編を五編集めたアンソロジー。
なんだかとても物悲しい一冊だった。紙の本や街の本屋さんが持つ温かみでほっこり話を予想して読んで、そこから大きく外れているわけではないのだけど・・・
一話目の閉店する本屋さんを皮切りに、駄菓子屋だったり喫茶店を併設して地域のコミュニティに根ざす形で生き残りを図る店、昔ながらの配達でお客さんを繋ぎ止める店など、書店は経営は如何に厳しいか、街の本屋さんという存在が特別なものになりつつある現状をまざまざと見せつけられる話ばかり。それだけで悲しく切なくなってしまう。
また、裏テーマが失恋だったのでは?と思うほど、失恋や離婚といった別れを経験した(もしくは経験する)人物が主人公の話が多い。傷ついた人の心を癒す、その人にとっての大事な一冊として本を、それと出会える場所としての本屋さんを印象付ける為の主人公たちの境遇だったのは理解できるのだけど、本屋さんの現状と併せると悲しさが勝ってしまった感じがする。
距離的時間的な問題でほとんど書店に行かない自分が言うのも烏滸がましいけれど、紙の本とそれを売る街の本屋さんが普通に存在していられるような世の中であってもらいたいものです。