いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ふれあいサンドイッチ」谷瑞恵(角川文庫)

ふれあいサンドイッチ (角川文庫)

大阪は靭公園のそばの小さなサンドイッチ専門店『ピクニック・バスケット』。ハロウィンの季節、店頭に飾っているカボチャのランタンを売ってほしいという訳アリな女性、自分が本当に食べたいものがわからなくなってしまったフードライター、クラスメイトの売り言葉に買い言葉でおいしいパンを作らねばならなくなった女の子……訪れる人たちの悩み、その気持ちに寄り添ってくれる絶品サンドイッチをどうぞ召し上がれ。


大阪の公園の片隅にある姉妹で営むサンドイッチ店の物語、第3弾。
義母になる予定だった人にもらった指輪を失くした女性。ダイエット関連の仕事ばかりになっていることを悩むフードライター。店の看板猫コゲが連れてきた迷い猫のシャム猫の飼い主。大好きな叔父のパンを貶されて怒り心頭の小学生の女の子。食の好みが合わなくて喧嘩中のカップル。短編連作で全5話、それぞれに問題を抱えている登場人物が『ピクニック・バスケット』に訪れ、お店のサンドイッチをきっかけに事態が好転していく優しい物語。
ややネガティブ思考ながらいつも笑顔で人当たりのいい妹・蕗子と、おおらかで全てを見通しているような不思議な雰囲気を持つ姉・笹子。どの話もその後の幸せが想像できる好い余韻の終わり方なのと、二人の作る店の空気が温かなのが相まって、読み終わるとホッとする。その温かさが巻を重ねるごとに増しているのは、主な語り部の蕗子のメンタルが上向いているからだろうか。
そして、今回一大事なのがその蕗子の恋模様。思い人の川端に彼女の気配が?で気が気でなく、浮き沈みの激しい蕗子の様子が可愛らしい。明らかに両片想いなのにお相手の川端共々過去の恋の失敗を引きずっていてどちらも臆病なので、焦れ焦れ具合はは最高潮。
五話かけてようやくデートの約束までは辿り着いたので、次こそ進展があるはず……と前の巻でも思った記憶が(苦笑) さすがにそろそろ進展してくれてもいいのよ?