いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



魔法遣いに大切なこと 太陽と風の坂道Ⅱ

富永君はいつも突然だ、と思っていた。その目は私を見ていない。いつもどこか遠くを、見ている。そう、せつなく思っていた。彼が何を見つめているかなど、まるで知らないまま――。
富永龍太郎という強くて寂しい目をした青年に恋をして、彼の孤独と絶望、そして温かさに触れ、笑顔で頷くばかりだったナミが、少しずつ変わっていく。
私はこの人を強い風から守りたい。
たった一人で立っているこの人の支えになりたい。この人のために魔法を遣いたい――。
情緒豊かな街・長崎で、魔法が苦手な魔法遣い・ナミと、彼女の大切な仲間たちが行く、それぞれの坂道。その坂を登り切れば、輝く海が見える……。


太陽と風の坂道小説版完結。
一人の少女の成長とその周りの人達との人間模様を描いた作品。
1巻同様細部に若干の差異はあるものの、基本的には漫画版とストーリーは変わらない。


ナミと龍太郎の苦悩や葛藤が解消されていく過程がとても丁寧に書かれていて、読後感は最高。
また2人以外のキャラのそれぞれの内面も丁寧で、作者のいう「心をこめて」というのが伝わってくる。
これで小説版しかないサイドストーリーみたいなものをちょっと入れてくれれば文句なしだったのだが・・・


漫画と内容が同じなのでどちらか読めばいいかなという感じは否めない。
漫画と小説の違いは各キャラの内面、心境を表情で読むか文字で読むかの違い。
どちらを選ぶかは好みの問題かな。