いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



小説

「月の立つ林で」青山美智子(ポプラ文庫)

長年勤めた病院を辞めた元看護師、夢を諦めきれない芸人、家族関係の変化に寂しさが募る二輪自動車整備士、自立を願う女子高生、仕事と家庭のバランスに悩むアクセサリー作家。下を向きながらの毎日の中で、彼らが耳にしたのはポッドキャスト『ツキない話』…

「さよならの言い方なんて知らない。10」河野裕(新潮文庫nex)

その世界で、人々は生きる意味を失った。何でもできるAIが誕生したとき、人間は何もかもに満足し、人生に価値はなくなった。絶望の世界で、少女・冬間美咲は願う。自分のヒーローを。生命の価値を取り戻す、唯一無二の存在を。香屋歩。これは人に作られた「…

出張移動時間の読了本

「白き帝国5 アイオーンの戦舞」犬村小六(ガガガ文庫) 感想は後日。 とりあえず「ひでえことしやがる」とだけ。 「大延長」堂場瞬一(実業之日本社文庫) 野球小説その1 新潟の公立校と東京の強豪私立による甲子園決勝が15回引き分け再試合になったとこ…

「クロエとオオエ」有川ひろ(講談社)

「いや、ごめん要らないわ、これ」 「は!? い、要らないってお前……嵌めてみもせずに!?」 横浜で三大続いた宝石商(ジュエラー)の嫡男・大江頼任と、彫金を家業とする職人の娘・黒江彩。 最初のデートで頼任が贈ったリングを突き返してから、二人の関係は「メ…

「君に恋をするのは、いけないことですか」筏田かつら(宝島社文庫)

ちょっとポンコツでアイドルオタクの医学部生・滝沢冬吾は、推し活で参加したフェスの帰り道、電車で乗り過ごし無人駅にたどり着く。そこで知り合った少女。はじめは距離の近い彼女を警戒していたが、彼女の優しさと行動力に冬吾は徐々に惹かれていく。名前…

「古典確率では説明できない双子の相関やそれに関わる現象」東堂杏子(メディアワークス文庫)

二十も離れた弟の誕生――それがすべての始まりだった。 斉藤勇魚と斉藤真魚。男女の双生児でともに二十歳の大学生。二人の人生は、年の離れた弟の誕生で一変した。 広島の大学に通う勇魚は親友に恋人を奪われ荒んだ日々を送り、北九州の実家で暮らす真魚も最…

「凛として弓を引く 奮迅編」碧野圭(講談社文庫)

武蔵野西高校(ムサニ)弓道同好会発足から一年、ついに弓道部への昇格が決まった。新入部員も集まり、弓道経験者の新たな顧問の先生も加わる。そして春の関東大会予選、インターハイ予選が近づいてきた。部長の楓と絶好調の善美たちは、部として迎える最初で…

「泣きたい午後のご褒美」青山美智子、朱野帰子、竹岡葉月、斎藤千輪、織守きょうや、小川糸(ポプラ文庫)

どんなときでも喫茶店でのひと休みと「物語」が私たちを癒してくれる--。 アルバイトを始めた憧れのカフェで。高校時代の親友と訪れたルノアールの貸し会議室で。紅茶占いが名物の洋館で。マスターがあらゆる「告白」を受け入れてくれるカウンターで。こち…

「神様の本」三上延、似鳥航一、紅玉いづき、近江泉美、杉井光、浅葉なつ(メディアワークス文庫)

現存する最古の日本語訳聖書を追い、その謎を紐解く古書店の女店主・栞子(三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」)、「ゴッド オブ 、神様 団子」と言い残して倒れた青年と、あるミステリー作家(似鳥航一「下町和菓子 栗丸堂」)、パパ活中の女子大生と『人間失…

「石狩七穂のつくりおき 猫は仲間を募集中」竹岡葉月(ポプラ社ピュアフル)

古民家・我楽亭でパートナーの隆司と猫のチャミ様と暮らす七穂。立ち上げた家事代行サービス『KAJINANA』も軌道に乗り、伝説の家政婦と噂の老婦人をスカウトしたり、超偏食姉弟のための食事づくりに挑んだりと忙しい日々だ。そんな中、七穂は同じく家事代行…

「キッチン常夜灯 ほろ酔いのタルトタタン」長月天音(角川文庫)

30歳目前、かなめは焦っていた。飲食店が大好きで入社したのに、工場併設の製菓部に異動してからは、空回りばかりだ。ある日、先輩から閉店時間を気にせず食事ができる「キッチン常夜灯」を教えてもらう。飴色のタルトタタン、オレンジが香るガトーバスク、…

「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん お茶会の秘密と二人だけのクラムチャウダー」友井羊(宝島社文庫)

スープ屋「しずく」店主の麻野は料理の腕前に劣らず、店に持ち込まれる謎や事件の推理力も評判だ。店の常連客で麻野の恋人の理恵は、同じく常連客でセレブの片山が催すホームパーティーに招かれた。しかし、片山が披露したダイヤモンドが少し目を離した隙に…

「ネコシェフと海辺のお店」標野凪(角川文庫)

青い波が打ち寄せる浜辺にぽつりと佇む小屋は、料理上手なネコシェフの店。ここに辿り着くのは、仕事や恋愛、子育てなどに悩み「現実から逃げ出したい」と切実に願う人ばかり。マイペースで饒舌なシェフは、旬の魚を使い腕をふるう。ホッキ貝のチャウダー、…

「冷たい恋と雪の密室」綾崎隼(ポプラ社)

センター試験二日前、歴史に残る最強寒波が新潟県全域を襲った。放課後、受験勉強を終えた三条市の高校三年生、石神博人は大雪の中、最寄りの三条駅に着いたが大混雑で電車は全然来ない。自宅のある帯織駅までは二駅とはいえ徒歩での帰宅は難しい。十八時過…

「赤と青とエスキース」青山美智子(PHP文芸文庫)

メルボルンに留学中の女子大生・レイは、現地に住む日系人・ブーと恋に落ちる。彼らは「期間限定の恋人」として付き合い始めるが……(「金魚とカワセミ」)。額縁工房に勤める空知は、仕事を淡々とこなす毎日に迷いを感じていた。そんな時、「エスキース」と…

「異世界居酒屋「げん」 二杯目」蝉川夏哉(宝島社文庫)

異世界にある東大国の王都ラ・パリシィアに繋がった居酒屋「げん」は。日々訪れる街の人々や貴族に認められ繁盛していった。評判を聞きつけて、「げん」にはさらに様々な人々が訪れる。自信の一品を求めてやってくる吟遊詩人、王城を抜け出した国王の叔母、…

9/8の雑談

体調微妙 昨日よりはマシだが、とても良いとは言えない。くらいの体調。 眠れればもう少しよくなるんだろうけど、寝れないのよねー(´・ω・`) 出張のお供(木金) 仕事より明らかに読書の比重が大きいのは気にしてはいけない 「異世界居酒屋「げん」 二杯目」…

8/28の雑談(昨日の話)

運が良いのか悪いのか 昨日、結局出張に行くことになりまして。 朝は胸やけと戦い、帰りは運休に怯えながら行ってまいりました。台風もっとはよこいや(# ゚Д゚)そしてさっさと通り過ぎろ 行きは朝通り過ぎた後、浜松-豊橋間が運転見合わせに。 帰りは静岡-掛…

「さよならの言い方なんて知らない。9」河野裕(新潮文庫nex)

賢者の円卓。通称「PORT」の頂点に君臨した男、ユーリイ。架見崎で最強のチームを率いた彼は、常に「王」だった。優雅で、強く、美しく。しかしまったく本心を見せない、謎の王様。ゲームの勝者に最も近いとされた彼は、心の奥底では何を求めていたのか。ユ…

「夏休みの空欄探し」似鳥鶏(ポプラ文庫)

クイズ研究会会長の高校2年生・成田頼伸(ライ)は、クラスで「じゃない方」と呼ばれている。同じ姓で、ダンス同好会所属の人気者・成田清春(キヨ)がいるからだ。「役立たない」ことが好きなライと、効率重視で「役立つこと」が好きなキヨ。対照的な二人は、夏…

「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のみんなの話」武田綾乃(宝島社文庫)

北宇治高校吹奏楽部の活躍を描く、人気青春エンタメシリーズの最新作。 卒業旅行の行き先を相談していた久美子たちのもとに、ひょんなことから沖縄での演奏会の話が舞い込み……!? そのほか、男子部員たちの内緒の恋バナ、大学生になった夏紀、優子、希美、み…

6/27の雑談

出張のお供 出張の移動時間に読んだ本の一言感想。 初日が4時半置きでグロッキーだったので思いの外進まなかったけど(´・ω・`) 「夏休みの空欄探し」似鳥鶏(ポプラ文庫) 感想は後日(新刊で買ったので感想はまじめに書く予定) 『夜のピクニック』恩田陸…

「キッチン常夜灯 真夜中のクロックムッシュ」長月天音(角川文庫)

街の裏路地で、夜から翌朝まで開く「キッチン常夜灯」。同期のみもざに連れてこられて以来、ここを訪れるのが、つぐみの唯一の楽しみだ。涼しげなヴィシソワーズ、とろけるシェーブルチーズのサラダ、若鳥のバスク風煮込みーー。現座に疎まれる本社勤務は、…

「キッチン常夜灯」長月天音(角川文庫)

街の路地裏で夜から朝にかけてオープンする“キッチン常夜灯”。チェーン系レストラン店長のみもざにとって、昼間の戦闘モードをオフにし、素の自分に戻れる大切な場所だ。店の常連になってから不眠症も怖くない。農夫風ポタージュ、赤ワインと楽しむシャルキ…

「レーエンデ国物語 夜明け前」多崎礼(講談社)

四大名家の嫡男・レオナルドは佳き少年だった。生まれよく心根よく聡明な彼は旧市街の夏祭りに繰り出し、街の熱気のなか劇場の少女と出会う。――そして、真実を知り、一族が有する銀夢草の畑を焼き払った。権力が生む欺瞞に失望した彼の前に現れたのは、片脚…

「キッチンつれづれ」アミの会(光文社文庫)

八人の作家が描き出す、家族や大事な人との悲喜こもごも。「対面式」(福田和代)、「わたしの家には包丁がない」(新津きよみ)、「お姉ちゃんの実験室」(永嶋恵美)、男の料理教室で事件を推理「春巻きとふろふき大根」(大崎梢)、「離れ」(松村比呂美…

「石狩七穂のつくりおき 家事は猫の手も借りたい?」竹岡葉月(ポプラ文庫ピュアフル)

四季折々の植物が生い茂り、猫が訪れる古民家で、隆司と暮らしはじめた七穂。抜群の家事能力を生かして立ち上げた家事代行サービス「KAJINANA」には、「対等で完璧な折半」を目指す共働き夫婦や、幼い娘のために亡くなった妻のカレーの味を再現してほしいと…

「冬期限定ボンボンショコラ事件」米澤穂信 (創元推理文庫)

小市民を志す小鳩君はある日轢き逃げに遭い、病院に搬送された。目を覚ました彼は、朦朧としながら自分が右足の骨を折っていることを聞かされる。翌日、手術後に警察の聴取を受け、昏々と眠る小鳩君の枕元には、同じく小市民を志す小佐内さんからの「犯人を…

「VR浮遊館の謎 ―探偵AIのリアル・ディープラーニング―」早坂吝(新潮文庫nex)

人工知能探偵・相以(あい)と助手の輔(たすく)は、世界初のフルダイブ型VRに挑戦! あらゆるものが浮遊する館で、相以は魔法使いに変身! 早速、犯人当てゲームの最速クリア法を提案する。「一人ずつ殺していけばいいと思います!」ゲームとは思えない生…

「ビブリア古書堂の事件手帖 IV ~扉子たちと継がれる道~」三上延(メディアワークス文庫)

三つの時代をまたぎ紐解く、鎌倉文庫の謎 まだ梅雨の始まらない五月の終わりの鎌倉駅。よく似た顔立ちだが世代の異なる三人の女性が一堂に会した。 戦中、鎌倉の文士達が立ち上げた貸本屋「鎌倉文庫」。千冊あったといわれる貸出本も発見されたのはわずか数…