いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



小説

「神さまのいうとおり」谷瑞恵(幻冬舎文庫)

「会社を辞めて農業をしたい」。父親が突然宣言し、高校生の友梨は曾祖母の暮らす田舎に引っ越すはめに。主夫となった父親や同級生との関係に悩む友梨に曾祖母が教えてくれたのは、絡まってしまった糸をほどくおまじないだった。最初は、疑心暗鬼な友梨だっ…

「シャーロック・ホームズの凱旋」森見登美彦(中央公論新社)

「天から与えられた才能はどこへ消えた?」舞台はヴィクトリア朝京都。 洛中洛外に名を轟かせた名探偵ホームズが……まさかの大スランプ!?----- この手記は脱出不可能の迷宮と化した舞台裏からの報告書である。 いつの間にか迷いこんだその舞台裏におい…

「この銀盤を君と跳ぶ」綾崎隼(角川書店)

二ヵ月後にオリンピック開催を控えた、全日本フィギュアスケート選手権。この大会には日本女子フィギュアの歴史を変える選手二人が揃った。卓越したセンスと表現力を持つ完璧主義者・京本瑠璃。圧倒的身体能力でジャンプの限界を超越する雛森ひばり。波乱続…

「紙屋ふじさき記念館 あたらしい場所」ほしおさなえ(角川文庫)

大学卒業後、晴れて藤崎産業に入社した百花は記念館準備室に配属され、川越での新記念館開館に向けたプロジェクトに携わることに。どのような場所にすれば、人々に和紙の魅力を伝え、活用してもらうきっかけになれるのか。時にプレッシャーを感じながらも一…

「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 巡る季節のミネストローネ」友井羊(宝島社文庫)

早朝にひっそりと営業しているスープ屋「しずく」の常連客の理恵。ついにシェフの麻野に告白したが「待ってほしい」と言われ……。山菜採りがてら手伝うことになった恩人の遺産探し。夏の沖縄で起きた不可思議な出来事。秋の弁論大会と引っ搔き事件。フードロ…

「雑草姫のレストラン」賀十つばさ(新潮文庫nex)

八ヶ岳のふもとにある道の駅で働く茂花(ルビ・もか)は、有名レストランのシェフだった姉の夕花(ルビ・ゆうか)とともに東京から移住してきた。自然豊かな山では、山菜だけでなく雑草までもが美味な素材。ウドの天ぷら、タンポポのピッツァ、レンゲソウの…

「レーエンデ国物語 喝采か沈黙か」多崎礼(講談社)

ルミニエル座の俳優アーロウには双子の兄がいた。天才として名高い兄・リーアンに、特権階級の演出家から戯曲執筆依頼が届く。選んだ題材は、隠されたレーエンデの英雄。彼の真実を知るため、二人は旅に出る。果てまで延びる鉄道、焼きはらわれた森林、差別…

「おいしい旅 しあわせ編」大崎梢、近藤史恵、篠田真由美、柴田よしき、新津きよみ、松村比呂美、三上延(角川文庫)

祖母と一緒に行くはずだったお伊勢参り。急なトラブルでひとりでお参りすることになった元喜は、ある男の子と出会う(「もしも神様に会えたなら」)。 幼い頃に引っ越し、生まれ故郷の記憶はまるでない。両親の思い出話を頼りに故郷をめぐる旅に出るが……(「失…

「異世界居酒屋「げん」」蝉川夏哉(宝島社文庫)

東京某所で店を開いていた居酒屋「げん」は、葦村草平が切り盛りしていた。草平が閉店を考えた矢先、突然店の出入り口が異世界の王都ラ・パリシィアに繋がってしまう。不思議なお客を受け入れながら、心変わりした草平は店を続けていくことを決める。娘のひ…

「アンと愛情」坂本司(光文社文庫)

成人式を迎えても、大人になった実感のわかないアンちゃん。同い年の優秀な「みつ屋」の社員と自分を比べて落ち込んだり、金沢で素晴らしいお菓子に出合って目を輝かせたり。まだまだアンちゃんの学びの日々は続きます。 これからもそんな日常が――と思いきや…

「さよならの言い方なんて知らない。8」河野裕(新潮文庫nex)

現実世界の桜木秀次郎からのメッセージは、香屋歩に「切り札」を与えた。架見崎を破滅へと導くウロボロスへの対抗策を。……時を同じくして、平穏な国と世界平和創造部は戦争へと突入する。戦端を開いたのは、月生亘輝と白猫。「最強」と呼ばれる二人が、互い…

「レーエンデ国物語 月と太陽」多崎礼(講談社)

名家の少年・ルチアーノは屋敷を何者かに襲撃され、レーエンデ東部の村にたどり着く。そこで怪力無双の少女・テッサと出会った。 藁葺き屋根の村景や活気あふれる炭鉱、色とりどりの収穫祭に触れ、ルチアーノは身分を捨てて、ここで生きることを決める。しか…

武士道シリーズ全4巻

先日の出張のお供。 移動時間だけで11時間以上あったので、全4冊読み終わってしまった。 父が警察官だったこともあり幼少期から剣道一直線な少女・磯山香織。前世は猪か野武士か、とても女子とは思えないガサツで好戦的な真っすぐすぎる珍獣猪娘。 元々は日…

「可燃物」米澤穂信(文藝春秋)

彼らは葛を良い上司だとは思っていないが、葛の捜査能力を疑う者は、一人もいない。 群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ…

「湯治場のぶたぶた」矢崎存美(光文社文庫)

ふっと、休みたくなる時がある。身体をいたわって、滋味あふれる美味しい食事をとり、心を洗濯する――そんな思いを叶えてくれる小さな湯治場がここにあります。少し元気がない時は、鞄ひとつを持ってふらりと訪れてください。ビワがなる山里と豊かでいいお湯…

「六人の嘘つきな大学生」浅倉秋成(角川文庫)

IT企業「スピラリンクス」の最終選考に残った波多野祥吾は、他の五人の学生とともに一ヵ月で最高のチームを作り上げうという課題に挑むことに。うまくいけば六人全員に内定が出るはずが、突如「六人の中から内定者を一人選ぶ」ことに最終課題が変更される。…

「レーエンデ国物語」多崎礼(講談社)

聖イジョルニ帝国フェデル城。家に縛られてきた貴族の娘・ユリアは、英雄の父と旅に出る。呪われた地・レーエンデで出会ったのは、琥珀の瞳を持つ寡黙な射手・トリスタンだった。 空を舞う泡虫、乳白色に天へ伸びる古代樹、湖に建つ孤島城。その数々に魅了さ…

「月曜日の抹茶カフェ」青山美智子(宝島社文庫)

桜並木のそばに佇む喫茶店「マーブル・カフェ」では、定休日の月曜日に抹茶カフェ」が開かれ――。 ツイていない携帯ショップ店員、愛想のない茶問屋の若旦那、祖母が苦手な紙芝居師、京都老舗和菓子屋の元女将……。 一杯の抹茶から始まる、東京と京都をつなぐ1…

「物語の種」有川ひろ(幻冬舎)

読めば心が躍り出す。 ほっこり&胸キュン全十篇の物語! 読者から「物語の種」(エピソードでも写真でもフレーズでもO.K.)を募集して、その中から選ばれた物語の種を著者が広げて小説にした十編の短編集。 その内くっ付きそうな若者二人が出て来るほのかな…

「お探し物は図書室まで」青山美智子 (ポプラ文庫)

「お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?」 仕事や人生に行き詰まりを感じている5人が訪れた、町の小さな図書室。彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。自分が本当に「探して…

「シュレーディンガーの少女」松崎有理(創元SF文庫)

すべての65歳に例外なく、プログラムされた死が訪れる世界。肥満者たちをテレビスタジオに集め、公開デスゲームを開催する健康至上主義社会。あらゆる数学を市民に禁じ、違反者を捕らえては刑に処している王国。はたまた日々の食卓から、秋刀魚が消え失せて…

「瀬戸内海の見える一軒家 庭と神様、しっぽ付き」支倉凍砂(中公文庫)

東京でデザイナーになる夢が破れ、祖母の遺した家に引っ越してきた加乃。そこへ転がり込んできたのは、伏見から家出してきた稲荷狐だった。新天地での一人と一匹の共同生活が始まったが、土地の龍神の少女に、ここ愛媛県松山市は昔から狸が支配する地、稲荷…

「語らいサンドイッチ」谷瑞恵(角川文庫)

靱公園に面する『ピクニック・バスケット』は、笹子と蕗子の姉妹が営む小さなサンドイッチ店。いつかどこかで食べた記憶の味と想いを結びつける笹子のサンドイッチは、お客さんの心を癒してくれる。ある時、姉がフランス帰りのシェフである元彼と急接近して…

「君と漕ぐ5 ―ながとろ高校カヌー部の未来―」武田綾乃(新潮文庫nex)

日本代表選手となり注目を集める天才カヌー少女・恵梨香。だが大会で思いがけない事態に見舞われる。親友の舞奈は彼女を見守るが。一方、三年生になった希衣は自らの進路に悩んでいた。大学でも夢を追い続けるべきだろうか、それとも。そして迎えたインター…

「私たちの金曜日」(角川文庫)

ストレスから職場を転々とする会社員、小壜をロッカーに隠し持つミステリアスな同僚、上京した売れない地下アイドル、30歳の誕生日を迎えた小説家、育ち盛りの子供を抱える自衛官のパイロットなど……思い通りに仕事をすることが叶わないなかで働く様々な女性…

「紙屋ふじさき記念館 結のアルバム」ほしおさなえ(角川文庫)

感染症の世界的大流行の影響で、記念館の閉館イベントは中止。 そんな中、百花(ももか)は大学4年生となり、リモート環境下で卒論と就活に取り組むことになった。 突如姿を変えてしまった日常に、不安や理不尽さを感じながらも、百花や大学の仲間たちは現実に…

「バイオスフィア不動産」周藤蓮(ハヤカワ文庫JA)

バイオスフィアⅢ型建築、それは内部で資源とエネルギーの全てが完結した、住民に恒久的な生活と幸福を約束する、新時代の住居。その浸透によって人類の在り方が大きく様変わりした未来、バイオスフィアを管理する後香不動産の社員として働くアレイとユキオは…

「栞と嘘の季節」米澤穂信(集英社)

猛毒の栞をめぐる、幾重もの嘘。 高校で図書委員をつとめる堀川次郎と松倉詩門。 ふたりは図書室の返却本の中に、トリカブト花の栞を見つける。校舎裏でトリカブトが栽培されているのも発見すし、そしてついには被害者が……。 「その栞は自分のものだ」と嘘を…

「さよならの言い方なんて知らない。7」河野裕(新潮文庫nex)

最強が愛したただ一人の、女性。ウラル。彼女の存在は特別だった。あるいは一般的に、彼女の外見は地味に見えるかもしれない。悲しみも、怒りも、他の感情も、彼女が外に見せることは少ない。だが、それでも。架見崎の最強、月生亘輝にとって彼女だけが、美…

「凜として弓を引く 青雲篇」碧野圭(講談社文庫)

弓道をはじめて一年。初段を取り、高校二年生になった矢口楓は、後輩の高坂賢人にのせられ、廃部になった弓道部を復活させることに。しかし、校内に弓道場もなければ、入部希望者もなかなか集まらない。意図せず部長になり不安にかられる楓に、次々と難題が…