いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



小説

「栞と嘘の季節」米澤穂信(集英社)

猛毒の栞をめぐる、幾重もの嘘。 高校で図書委員をつとめる堀川次郎と松倉詩門。 ふたりは図書室の返却本の中に、トリカブト花の栞を見つける。校舎裏でトリカブトが栽培されているのも発見すし、そしてついには被害者が……。 「その栞は自分のものだ」と嘘を…

「さよならの言い方なんて知らない。7」河野裕(新潮文庫nex)

最強が愛したただ一人の、女性。ウラル。彼女の存在は特別だった。あるいは一般的に、彼女の外見は地味に見えるかもしれない。悲しみも、怒りも、他の感情も、彼女が外に見せることは少ない。だが、それでも。架見崎の最強、月生亘輝にとって彼女だけが、美…

「凜として弓を引く 青雲篇」碧野圭(講談社文庫)

弓道をはじめて一年。初段を取り、高校二年生になった矢口楓は、後輩の高坂賢人にのせられ、廃部になった弓道部を復活させることに。しかし、校内に弓道場もなければ、入部希望者もなかなか集まらない。意図せず部長になり不安にかられる楓に、次々と難題が…

「本を守ろうとする猫の話」夏川草介(小学館文庫)

夏木林太郎は、一介の高校生である。幼い頃に両親が離婚し、小学校に上がる頃からずっと祖父との二人暮らしだ。祖父は町の片隅で「夏木書店」という小さな古書店を営んでいる。その祖父が、突然亡くなった。面識のなかった叔母に引き取られることになり本の…

「小説 すずめの戸締まり」新海誠(角川文庫)

九州の静かな港町で叔母と暮らす17歳の少女・鈴芽。ある日の登校中、美しい青年とすれ違った鈴芽は、「扉を探してるんだ」という彼を追って、山中の廃墟へと辿りつく。しかしそこにあったのは、崩壊から取り残されたようにぽつんとたたずむ古ぼけた白い扉だ…

「ソロキャン!」秋川滝美(朝日文庫)

仕事のストレスが日々溜まっていく千晶。子供の頃から頻繁にキャンプを楽しんできたが、近年はめっきり足が遠のいていた。ストレス解消と癒しを求めて久々にキャンプを始めることにしたが……。絶品料理とひとりの時間を存分に楽しむ、本格ソロキャンプ小説。 …

「おいしい旅 想い出編」秋川滝美、大崎梢、柴田よしき、新津きよみ、福田和代、光原百合、矢崎存美(角川文庫)

15年ぶりに再会した友人と訪れた京都。昔話に花を咲かせるが、みなそれぞれに事情を抱えていて……(「あの日の味は」)。亡くした夫との思い出を胸にひとり旅をしていた故郷・神戸で偶然出会った青年。一緒にスイーツ巡りをすることになるが(「幸福のレシピ」)…

「おいしい旅 初めて編」近藤史恵、坂木司、篠田真由美、図子慧、永嶋恵美、松尾由美、松村比呂美(角川文庫)

仕事に行き詰まり、勢いで列車に乗り終点まで……旅先では驚きの出会いが待っていた(「下田にいるか」)。福引きで旅行券を引き当て、台湾へひとり旅。現地で会った駐在員はどこか訳アリのようだが(「情熱のパイナップルケーキ」)。訪れたことのない場所、見た…

「ぼくらに嘘がひとつだけ」綾崎隼(文藝春秋)

僕らは取り違えられたのかもしれない―― エリート棋士の父を持つ京介と、落ちこぼれ女流棋士の息子・千明。二人の〝天才〟少年は、またたく間に奨励会の階段を駆け上がる。期待を背負い、プロ棋士を目指す彼らに、出生時に取り違えられていたかもしれない疑惑…

「ただいま神様当番」青山美智子 (宝島社文庫)

『赤と青とエスキース』で2年連続本屋大賞にノミネートされた青山美智子氏の最新文庫。ある朝、目を覚ますと手首から腕にかけて「神様当番」と太くて大きな文字が書かれていた! 突如目の前に現れた「神様」を名乗るおじいさんの願いを叶えないと、その文字は…

「15秒のターン」紅玉いづき(メディアワークス文庫)

「梶くんとは別れようと思う」学園祭の真っ最中、別れを告げようとしている橘ほたると、呼び出された梶くん。彼女と彼の視点が交差する恋の最後の15秒(「15秒のターン」)。 ソシャゲという名の虚無にお金も時間も全てを投じた、チョコとあめめ。1LDKアパート…

「ぶたぶたのお引っ越し」矢崎存美(光文社文庫)

リタイア後、田舎に移住したいという夫と考えが合わず悩む成実の前に、移住のアドバイザーとして登場したのは――(「あこがれの人」)。家賃の安い「告知事項あり物件」に引っ越すことになった詠斗は、挨拶に訪れた隣の部屋で、衝撃の出会いを果たす――(「告知事…

「放課後レシピで謎解きを うつむきがちな探偵と駆け抜ける少女の秘密」友井羊(集英社文庫)

猪突猛進でトラブルを起こしがちな夏希は、高二になって調理部へ転部する。同じ時期に入部してきたのは、内気なクラスメイトの結。正反対の二人は部活で一緒にパンを焼くことに。でも、なぜか夏希たちの作ったパンだけが膨らまない! 原因を究明しようと奔走…

「スイーツレシピで謎解きを 推理が言えない少女と保健室の眠り姫」友井羊(集英社文庫)

高校生の菓奈は人前で喋るのが苦手。だって、言葉がうまく言えない「吃音」があるから。そんな菓奈が密かに好意を寄せる真雪は、お菓子作りが得意な究極のスイーツ男子。ある日、真雪が保健室登校を続ける「保健室の眠り姫」こと悠姫子のために作ったチョコ…

「土曜はカフェ・チボリで」内山純(創元推理文庫)

土曜日しか営業しないうえ、店主は男子高校生という不思議な“カフェ・チボリ”。あたたかいもてなにしにくつろいだ常連客たちは、身の回りで起こった謎について語りだす。それらは『マッチ売りの少女』や『みにくいアヒルの子』など、アンデルセン童話を連想…

「紙屋ふじさき記念館 春霞の小箱」ほしおさなえ(角川文庫)

紙屋ふじさき記念館の閉館まであと半年と少し。夏休みのサークル遠足で紙の産地・東秩父と小川町を訪れたり、正月の「楮(かず)かしき」に参加したりするうちに、百花は作家だった父が民藝運動に関心を持っていたと知る。人の手が生み出すものの良さと伝え続…

「ビブリア古書堂の事件手帖 III ~扉子と虚ろな夢~」三上延(メディアワークス文庫)

春の霧雨が音もなく降り注ぐ北鎌倉。古書に纏わる特別な相談を請け負うビブリアに、新たな依頼人の姿があった。 ある古書店の跡取り息子の死により遺された約千冊の蔵書。高校生になる少年が相続するはずだった形見の本を、古書店の主でもある彼の祖父は、あ…

「恋になるまで、あと1センチ」六つ花えいこ(宝島社文庫)

高校1年生の楢崎颯太は、階段から落ちてきた篠先輩を助けた。これをきっかけに、颯太は篠先輩に懐かれるようになる。距離感の近い篠先輩に戸惑いつつも、颯太は彼女の相手をしていく。いつの間にか心の距離が近づき、互いが想い合っていく……。天使のように純…

「さよならの言い方なんて知らない。6」河野裕(新潮文庫nex)

架見崎に現れた新たな絶対者。ウロボロス。「彼」の登場は、戦う意味をすべて変えてしまった。勝者に与えられる報酬「欲しいものをなんでも1つ」を本気で手に入れるため、香屋歩はエデンの実質的リーダー、ユーリイとの共闘を決意する。一方、新たなチームを…

「めぐり逢いサンドイッチ」谷瑞恵(角川文庫)

「サンドイッチになってると、なんだかわくわくするでしょう」 大阪の靭公園前にある『ピクニック・バスケット』は開店3年目の手作りサンドイッチ店。姉の笹子ろ妹の蕗子のふたりで切り盛りするこのお店には、個性豊かな人々が訪れる。タマゴサンド嫌いなOL…

「コミュ障探偵の地味すぎる事件簿」似鳥鶏(角川文庫)

念願の大学生活をスタートさせた藤村京はいわゆる“コミュ障”。新入生ガイダンス初日から誰にも話しかけられずに意気消沈していたところ、教室の片隅に高級傘の忘れ物を見つける。誰とも話していない藤村は、誰の連絡先も分からない。仕方なく一人で推理して…

「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 朝食フェスと決意のグヤーシュ」友井羊(宝島社文庫)

朝食フェスの運営に携わることになった理恵は、優れた推理力をもつスープ屋しずくのシェフ・麻野とともに、様々なトラブルに立ち向かう。人気パン屋が急に出店を迷いだした理由とは? いわくつきの調理器具を使った人気ブロガーは、なぜ体調を崩したのか。そ…

「凜として弓を引く」碧野圭(講談社文庫)

高校入学目前、矢口楓がふと足を踏み入れた神社の片隅にみつけた弓道場。おとなたちに交じって弦音(つるね)を響かせる少年の凛々しい姿に魅せられ、そこの弓道会に入門することに。人見知りの女子高生が日本古来の弓道の奥深い魅力に目覚め、新しい世界の扉…

「鎌倉うずまき案内所」青山美智子(宝島社文庫)

古ぼけた時計店の地下にある「鎌倉うずまき案内所」。そこには、双子のおじいさんとなぜかアンモナイトが待っていて……。会社を辞めたい20代男子。ユーチューバーを目指す息子を改心させたい母親。結婚に悩む女性司書。孤立したくない中学生。40歳を過ぎた売…

「魔女の娘」冬月いろり(メディアワークス文庫)

著名な魔女を母に持ちながら、魔法が使えない「失くし者」の少女・帆香。旅に出たまま姿を消した母の手紙に導かれ辿り着いた「魔法のレンタル屋」で、月額9万8000円と引き換えに魔力を借りられることに。母の面影を追い、憧れの魔法学園に入学した帆香だが、…

「君と漕ぐ4 ―ながとろ高校カヌー部の栄光―」武田綾乃(新潮文庫nex)

スター選手、蘭子にスカウトされてペアを組むことになった恵梨香。二人は圧倒的な記録を叩き出し、日本代表選手と目される。努力を重ねる希衣もまた、親友でライバルでもある千帆の実力に迫りつつあった。一方、初心者だった舞奈もいよいよ大会デビュー。つ…

「紙屋ふじさき記念館 故郷の色 海の色」ほしおさなえ(角川文庫)

新入生オリエンテーションで大忙しだった小冊子研究会へ、ひとりの新入生が訪ねてくる。百花が作った「物語ペーパー」を見たという。彼女と活版印刷の話で盛りあがり、研究会の新歓遠足は川越にある印刷所「三日月堂」の見学となる。当日、百花は店主・弓子…

「みとりねこ」有川ひろ(講談社)

稀代のストーリーテラーが綴る7編、7匹の物語。 時間は有限。出逢いは無限。『旅猫リポート』外伝2編も収録!猫の浩太は、一家の長男・浩美と生まれたときからずっと一緒。もう二十歳を超えるけど、年齢を感じさせないピカピカの毛並みがご自慢。いつも醤油に…

「君に恋をするなんて、ありえないはずだった 課外授業は終わらない」筏田かつら(宝島社文庫)

地味な眼鏡男子とあまのじゃくな美少女の「じれったい恋」を描いた、大人気青春恋愛シリーズ初の日常短編集。 靖貴と恵麻の前日譚「Walk Through the Rain」、久美子を通して描かれる恵麻の小中学校時代「Yes, Emma OK?」、二人の卒業後がわかる「彼女が部屋…

「青い春を数えて」武田綾乃(講談社文庫)

放送部の知咲は、本番の舞台にトラウマがある。だが、エースの有紗の様子が変で――(白線と一歩)。 怒られることが怖い優等生の細谷と、滅多に学校に来ない噂の不良少女・清水。正反対の二人の逃避行の結末は(漠然と五体)。 少女と大人の狭間で揺れ動く5人の高…