いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



武士道シリーズ全4巻

   


先日の出張のお供。
移動時間だけで11時間以上あったので、全4冊読み終わってしまった。



父が警察官だったこともあり幼少期から剣道一直線な少女・磯山香織。前世は猪か野武士か、とても女子とは思えないガサツで好戦的な真っすぐすぎる珍獣猪娘。
元々は日本舞踊を習っていて、中学から剣道を始めた変わり種の剣道少女・西荻(甲本)早苗。勝ち負けにこだわらない心優しくおっとりとした性格で、でも曲がったことは大嫌いな大和撫子
そんな二人の女の子が主人公の剣道青春小説。
1巻目『武士道シックスティーン』では、運命的な出会いを果たした後、同じ高校に入った二人の様子が描かれる。
自分の理想が漠然とあって、でも現状の自分はそこから果てしなく遠くて、そこに至る道も見えなくて、もどかしくてイラつく。そんな思春期らしい葛藤が描かれるThe青春な内容。

2巻目と3巻目の『武士道セブンティーン』『武士道エイティーン』では早苗が転校し、それぞれの高校それぞれの境遇で再戦を目指す二人の葛藤が描かれる。
友達ではあるけれど、親友というとなんか違う。戦友も盟友も同志も固すぎてしっくりこない。遠く離れた地で、意見が合わずすれ違っているのに、魂で繋がっているようにお互いに影響を与え合う二人の関係が尊い
そんな二人がいくつもの試練を乗り越えて、二人の関係に感化された周りのサポートもありながら、再戦を果たす過程は涙の連続。それはズルいだろ(泣)、と何度思ったことか。

後日談的な大人になってからの「武士道ジェネレーション」では、突然歴史解釈というか思想の話が濃くなって「うーん?」と思うところはあるけれど、大人になった二人の姿に「こんなに立派になって」と親目線の感慨が押し寄せる。変わった=成長したところ、大人になっても変わらないところ、両方が見えるのが嬉しい。

多感な時期の少女の青春模様と成長を肌で感じられる、素晴らしいシリーズだった。