いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 巡る季節のミネストローネ」友井羊(宝島社文庫)

スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 巡る季節のミネストローネ (宝島社文庫)

早朝にひっそりと営業しているスープ屋「しずく」の常連客の理恵。ついにシェフの麻野に告白したが「待ってほしい」と言われ……。山菜採りがてら手伝うことになった恩人の遺産探し。夏の沖縄で起きた不可思議な出来事。秋の弁論大会と引っ搔き事件。フードロスの寄付会場での不穏な出会い。舞い込む事件を、四季のスープとともにやさしく解決する麻野。そして麻野が出した告白への答えは?


ついに? ようやく? な理恵さんの告白から始まる、スープ屋しずくの謎解き朝ごはんシリーズ第8弾。
前の巻で理恵が決意を固めていたので告白はあるだろうと思っていたけど、まさかオープニングに持ってくるとは。一足飛びにエピローグを読みたい気持ちを抑えるのが大変だった。
物語としてはいつも通りの短編連作形式で、スープ屋しずくの朝営業で登場人物の誰かが遭遇している日常の謎を解いていくいつものスタイル。但し、理恵の告白から始まるからなのか、今回は恋愛要素濃いめ。
そして、毎回楽しみで今回も質・量共に期待通りだったスープの数々。スープの説明と口にした人たちの感想で食欲をそそられるのはもちろん、人のちょっとした悪意や闇や自分勝手が見える事件の顛末で沈む気持ちを和らげ癒してくれる。
今回、最も魅かれたのは春野菜のポトフ。元々ポトフが美味しいと言われているスープ屋しずくで、普段と違うスパイシーなポトフ。どんな味がするのだろう。変わり種で興味があるのが茄子と生姜のポタージュ。茄子が新鮮じゃないと青臭くて飲めなさそうだから、家庭で作るのは大変そうだけど。
あと、個人的に気になったのはしいたけ皮膚炎の話。体調が悪い時にシイタケを焼いた蒸気だけで蕁麻疹みたいになったのはこの所為か? 



以下はネタバレ



季節を巡る一年間の話かと思ったら実は二年経っていて、実際は一瞬の出来事だった。何を言っているかわからねーと思うが(なんとかかんとか
「お姉ちゃん」とオリーブの実に違和感を持ったのに何故気付かなかったのか。そんなことよりはよ応えろやと思ってたからだなきっとw
まあ、そんなことよりやっとやっとやっと想いが通じたことに感無量。散々ヤキモキさせられてきたからねえ。
付き合い始めても二人の性格からしてイチャイチャすることはないだろうけど、露ちゃんを含めて家族を感じられるエピソードが読めるといいなあ。
ただ、今回が理恵の告白をきっかけに二人が出会いから今までを回想するような話の作りで、なんとなく最終回チックな作りなのが気になる。
続き、お願いします!