いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「雑草姫のレストラン」賀十つばさ(新潮文庫nex)

八ヶ岳のふもとにある道の駅で働く茂花(ルビ・もか)は、有名レストランのシェフだった姉の夕花(ルビ・ゆうか)とともに東京から移住してきた。自然豊かな山では、山菜だけでなく雑草までもが美味な素材。ウドの天ぷら、タンポポのピッツァ、レンゲソウのグラタン、よもぎアイ ス……姉妹は出会った人々においしい草花料理をふるまい、自らもまた癒されていく。踏まれ強い雑草女子と愉快な仲間たちの幸せグルメ小説。


大きな失敗や傷心で東京から田舎に逃げて来た人たちの静養と奮起の物語であり、惚れっぽい女の子のところに訳アリイケメンが次々と現れるテンション高めな少女漫画チックな物語でもある、緩急激しめな一冊。

極めて薄味。


以下酷評




人情と癒しのハートフル小説は好んで読むジャンルだし、少女漫画も結構好きなのだけど、まるで響くものがなかった。
原因はメインの登場人物たちだろう。
木下姉妹と若者男性二人、それぞれに人生で挫折を味わって今田舎に居るはずなのに、短絡的で思慮のない発言ばかりで言っちゃ悪いが会話が阿保っぽい。特に主人公の茂花は人生や大きなお金が絡む話ですら思い付きで1人で話を進めてしまっていて、この子大丈夫?本当に社会人?と思わずにはいられない。これだけ短慮ならそりゃあ大きな失敗もするだろうという妙な納得感と、失敗しても成長のない残念な若者たちへのがっかり感で何とも言えない気分になる。
それ以上にがっかりだったのが雑草料理/草花ごはん。期待していただけに落胆は大きい。
その辺で雑草採ってきました→シェフの姉が料理しました→意外と美味しい、のテンプレルーティーンしかない。料理には詳しいんだろうけど、雑草に関しては上辺だけ調べて試してもいないんだろうなと思わせる知識の薄さと感想のレパートリーのなさ。これ別に雑草要素要らなかっただろう。
出汁が効いていない=うま味のない、しょっぱいけど薄味で美味しくない料理。そんな感じ。