いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ペンギン・ハイウェイ」森見登美彦(角川書店)

ペンギン・ハイウェイ
ペンギン・ハイウェイ

ぼくは小学四年生だが、大人に負けないぐらいいろいろなことを知っているし、努力をおこたらないから、将来はきっとえらい人間になるだろう。
五月のある朝、ぼくの住む郊外の街に突然、ペンギンたちが現れた。このおかしな事件には、歯科医院のお姉さんのふしぎな力が関わっているらしい。
「この謎を解いてごらん」
お姉さんは言った。
そしてぼくは、ペンギンとお姉さんについての研究を始めた。

京都作家森見登美彦氏、初の脱京都長編小説


おっぱいの話だった。
あ、違ったw おっぱいが大好きな少年の話だった。正確には賢い小学四年生のアオヤマ君が不思議なお姉さんに初恋をする物語。
京都を出て主人公が小学生になりどうなることかと思ったら、何も変わらなかった。というより、小学生男子がいつもの森見節(男性主人公ver.)のまま語っているという異様さが、妖しさ可笑しさを増している。
その残念な少年アオヤマ君は、群れることを良しとせず、探究心に溢れ、女子には紳士であり、頭の片隅では決しておっぱいことは忘れない大変男らしい少年。って、どう考えてもこの子小学生じゃないよ。
正直、こんなに屁理屈をこねる小学生には絶対に会いたくないが、もし彼が成人したら、是非酒を酌み交わしながらこの夏とおっぱいについて熱く語りたい。そんな魅力ある少年だった。・・・それ魅力か?w 
いつも通りの癖のある文体と、ちょっとの甘酸っぱさ。いい意味で相変わらずな森見作品で面白かった。



ここは一つ森見ファンとして、アオヤマ君には出来ない研究、いや考察をしてみよう。
以下、もの凄く下らない事が書いてあるので伏せ。


歯科医院のお姉さんと聞くと森見作品を読んでいる人にはある一人の人物が思い出される。複数の作品に登場する歯科衛生士の羽貫さんである。そして羽貫さんの相方といえば樋口氏である。彼は天狗である。
そう、今作の一連の出来事は、主演羽貫さん、演出樋口氏で行われたと考えられるのである。
『四畳半神話体系』や『夜は短し歩けよ乙女』で何度も不思議な出来事を引き起こしてきた樋口氏であれば(樋口がやったという記述はどこにも無いけどw)、ペンギンやジャバウォックの一つや二つ楽勝であろう。
また、度々体調不調に陥る歯科医院のお姉さんであるが、その原因はもちろん二日酔いである。お酒が大好きで残念ながら酒癖の悪い羽貫さんであるから、度々二日酔いになってもなんら不思議はない。そもそも今回の出来事も酒の席で調子に乗って計画してしまったのではないかと思われる。ペンギンと彼女の体調の因果関係もアオヤマ君がその偶然を見つけてしまったために、それを知った樋口氏が面白がって付け加えたのであろう。
そして、彼女がいなくなった理由はであるが、夢も希望もなくて申し訳ないが普通に転勤であろう。逆に転勤が決まっていたからこそ、あのタイミングでペンギンが出てきたと考えるのが自然である。謎を謎のまま去っていく羽貫さんらしい演出である。
アオヤマ君には悪いが、悪戯好きの彼女のこと最初から最後まで心底楽しんでいたに違いない。
全く悪い大人たちだ。




で、
京都でも大学生でもなくなったのに歯科衛生士だけは残すとは
森見先生はどれだけ歯科衛生士が好きなんですか!www