いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「シアンの憂鬱な銃」佐原菜月(電撃文庫)

シアンの憂鬱な銃 (電撃文庫)
シアンの憂鬱な銃 (電撃文庫)

「カーブミラーの下にいる男に声をかけてみろ」
新米刑事の空也は、ある事件をきっかけに碧い眼を持つ年若い神父・青と出会った。
友人の形見を捜し求める青と大きな事件を追う空也。互いの目的のために協力することになったふたりは、徐々に信頼とも呼べる気持ちを抱くようになっていく。
しかしm青は誰にも明かせない、とある秘密を抱えていて……。
それは自らが背負うべき罪なのか──。わけあり神父と新米刑事が繰り広げる、異色のヒューマンサスペンス。


関西弁の若手刑事・空也と謎多き神父・青の刑事ドラマ風サスペンス。
出だしは快調で掴みは上々、前半は面白い。
軽いノリとちょっといい話の組み合わせで、これぞ刑事ドラマといった内容。主人公の空也の気持ちのいい人柄とSっ気たっぷりの青のコンビ良く、テンポのいい掛け合いが心地いい。
ところが、後半になって青の秘密に迫り話が大きくなってくるといきなり失速する。
現代にない科学技術や魔法などの異能が出てくることはライトノベルらしくて全然問題ないのだが、それに振り回されちゃダメだろう。
技術の説明が一気に増えて話の流れが悪くなり、空也の味方をするヤの付くおじさん達が有能かついい人過ぎてご都合主義にしか感じられない。その上、潜入時にあるべきアクションシーンもなしではどこで盛り上がればいいのか。本当に急に話がのっぺりしてしまった。
前半が面白かっただけに後半も刑事ドラマのノリで行ってほしかった。このコンビで小〜中規模の事件を解決していく短編集のような作品なら読んでみたいが、この終わり方じゃないよなあ。