いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ドラゴンチーズ・グラタン 竜のレシピと風環の王」英アタル(このライトノベルがすごい!文庫 )

ドラゴンチーズ・グラタン (このライトノベルがすごい! 文庫)
ドラゴンチーズ・グラタン (このライトノベルがすごい! 文庫)

「なにか食べると気持ち悪くなっちゃうの……」病気の少女クレアを助けるため、マンドラゴラを求めて旅立つシェフ見習いの少年レミオ。彼は、食で病気を治療する医学――食療学を極める夢を抱いていた。しかし、旅先でアイソティアの美少女アトラと、聖獣殺しバレロンの争いに巻き込まれ、封印していた過去を解き放たざるを得なくなり……「風環、形成――【ヴァルキア器官、起動!】」。『このラノ』編集長の隠し玉第2弾!骨太ファンタジー、ここに始動!!


ファンタジーで食事療法と言うだけでも珍しいのに蓋を開けてみたら、
竜が哺乳類になっていたり魔法が一風変わったり、人間の内臓器官まで変えてあったりと独自路線で世界観を構築した意欲作だった。
初めのうちはその世界観と素性がよく分からない主人公・レミオとで取っ付きにくい面があるが、個性的かつレミオが好き過ぎる先輩たちのキャラクターで一笑いし、レミオの人の好さに心温まったりと段々と面白くなってくる。
その後も出てくる料理は旨そうだし、一つの笑顔のために必死になる主人公というストーリーも悪くなかった。
ただ、真ん中を構成する大部分の要素がね。これだけバトルシーンのセンスがない人も珍しい。
状況が把握しづらい上に文章がぶつ切りで凄く読みづらい(バトルシーンだけ改行ばかりで行の一文字目の文字がなく全体的に一段下がったように見える)。平時の文章は読み難さを感じないので、バトルシーンだけ別の人が書いてるんじゃないかと錯覚するくらい。
この内容で何故バトル重視にしてしまったのか。始めと最後は良かったのに、題材が他と差別化出来ていただけにもったいない。料理と医学で突き通して欲しかった。いいじゃない、地味でも。