いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「俺の教室にハルヒはいない」新井輝(角川スニーカー文庫)

俺の教室にハルヒはいない (角川スニーカー文庫)
俺の教室にハルヒはいない (角川スニーカー文庫)

「今日も『涼宮ハルヒ』は来ないみたいだな」
教室の一番後ろの席はずっと空席。全く登校してこない謎の少女がいるって噂だ。俺は前の席に座っているが、謎も何もない。俺には、物語みたいなことが起こるはずはない――。
なのに幼なじみのカスガは声優への道を歩み始め、送った帰り道、俺は偶然アニメ脚本家のマコトさんに食事に誘われ、気づけば色々な業界の人達に囲まれていた!? とてもミラクルで苦くて、少しだけ甘い青春の物語、開幕。

地雷臭しかしないタイトルに、この酷いあらすじ。作者が違ったら間違いなく買わなかった。危ないなあ、もう。



これは新井輝だ。文句なしの新井輝作品だ。この青春の空気感が帰ってきてくれただけで涙が出そうだ。
特に主人公。ちょっと抜けすぎじゃないかというくらい力が抜けててちょっとやそっとじゃ動じない。かと言って無気力ってわけでもなく、状況には流されるが自分の意見はちゃんとあって、聞き上手で他人を否定しない。そして人畜無害なのに女性をとっかえひっかえ(違w
そんな主人公が作り出す落ち着いた雰囲気と奇妙な安心感が心地いい。
話としては、オタク趣味がない上に学園ものアレルギーなるものまで持っている少年が、ひょんなことからアニメ業界の人々と関係を持っていく青春ストーリー。声優の卵の幼馴染みカスガとアイドル声優のアスカとの三角関係が軸になりそう。
また、アニメ関連の作品名・個人名は実名で出てくるが、オタク要素はそんなに濃くない。知っている人が時々「おっ」と思う程度。ハルヒ要素も同様。
1巻ということで人物紹介がメインだったが、ニヤニヤ出来る要素も荒れる要素もテンコ盛り、そしてなにより新井テイストの青春が読めると思うと楽しみでしょうがない。