いつも月夜に本と酒

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「非公認魔法少女戦線 ほのかクリティカル」奇水(電撃文庫)

非公認魔法少女戦線 ほのかクリティカル (電撃文庫)
非公認魔法少女戦線 ほのかクリティカル (電撃文庫)

“非公認魔法少女”――それは使命を果たしたあともなお闘い続ける少女たち。
どこにでもいる高校生・牧瀬琢磨の彼女、美守ほのかは、かつて伝説と謳われ、任期後も傭兵として戦う”非公認魔法少女”だった。
ある日、彼女は自分を訪ねてきたかつてのパートナー、ミケルから「三億円と引き換えに、闇に墜ちた魔法界を救う」という依頼を打診される。
そしてほのかと琢磨が知ったのは、ほのかに力を与えた〈星〉の魔法界の女王が悪に堕ち、さらには現役の魔法少女が根こそぎ悪に堕ちたという絶望的な状況で……終わり損ねた魔法少女たちの、血で血を洗う戦いが始まる。


なんだこのモヤモヤする感じ。ストーリー展開もキャラクターも良かったのに、全体としては微妙だ。
バッドソウルの影響で悪に染まった魔法少女たちを現役を引退した魔法少女たちが倒していく話で、電撃では珍しいが他のレーベルではそこそこ見かける魔法少女vs魔法少女の物語。
正統派ありネタありの個性豊かな魔法少女たちが多数出て来て華やか+面白い。中でも、メインの魔法少女ほのかの勝つためには何でもする姿勢が魔法少女らしくなくて新鮮。その彼女が起こす突拍子のない行動も最後できっちり回収されて一つの結果になる展開も綺麗。とパーツは文句なし。
では何が悪いのか。
悪落ちが中途半端と感じる面もあるが、某魔法少女作品に毒されている自分のせいであるし、あまりあくど過ぎてもエンタメ小説としてどうかと思う面もあるので、これは別に気にならない。
問題は、説明が下手だった。これに尽きる。
とにかく説明文が長い。その割に回りくどいだけで中身が伝わってこないし、肝心なところが曖昧。ついでに矛盾もある。
バッドソウルは意思のない災厄なのか意思のある悪意なのか、どちらの説明もあるんだが。それにバッドソウルに侵され倒された魔法少女がどうなるかも分からない。結局のところ何と戦っていてゴールはどこなのかも不明。
キャラやシーンの魅せ方は上手いだけに、細部を考えてちゃんと整理してから書いてほしかった。