いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「さよなら流星ガール」一二三スイ(メディアワークス文庫)

さよなら流星ガール (メディアワークス文庫)
さよなら流星ガール (メディアワークス文庫)

北海道のある町で、同じ日同じ病院に生まれた僕と茉莉(まつり)。家もお隣さん同士という、絵に描いたような幼馴染の僕たち。唯一の違いは“健康な体”で生まれてきたかどうかだった。
いくら星に願っても、神様は茉莉の病弱な身体を治してくれる気がないらしい。けれど彼女はその小さな体じゃ足りないほどの好奇心に溢れていた――。
入院生活での熱心な読書が災いし、ちょっとどうかと思う理系女子に成長した茉莉は、いつも僕を振り回してばかり。ただ、僕には言えない大きな秘密を抱えているようで――。
これは、きらきらの恋をし、やがては消える少女と僕の、刹那に輝く星のような物語。


生まれながらに難病を抱え入退院を繰り返しながら懸命に生きる少女・茉莉と、彼女に付き添う純朴少年・悠の物語。
人一倍の好奇心と本を読む時間だけは無限にある入院生活で、幼い頃から科学に傾倒し宇宙を夢見る茉莉。強さと脆さが同居する彼女の危なっかしい行動を、悠と一緒に見守っているうちに引き込まれていた。
また、この悠くんが中々の大物で。時折出てくる自分の命を軽く扱う茉莉の言葉を、聞き流すことも叱ることもせず、真正面から受け止める彼の優しさと懐の深さに心を打たれる。
そしてその二人が、お互いに好きあっているのは丸分かりなのに、当たり前の恋愛が出来ない二人の関係が切なくなる。
設定や展開は王道の話ではあったけど、綺麗な、いや澄んだ素敵な物語だった。
ただ、ラストがね。。。
「死」という別れが初めから決まっているので、もっと泣かせにくるものだと思って読んでいたのに、あっさりし過ぎていて泣けなかった。自分は泣ける話の時は思い切り泣けた方が好みなんだけど、一般的にはこういう悲しくなり過ぎないラストの方が好まれるのかなあ。
いい話だったのに、読後感がちょっとスッキリしなかった。