いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「白銀のソードブレイカー III ―剣の遺志―」松山剛(電撃文庫)

白銀のソードブレイカー (3) ―剣の遺志― (電撃文庫)
白銀のソードブレイカー (3) ―剣の遺志― (電撃文庫)

エリザの剣を修復後、しばし身を寄せていたサンデリアーナの工房が『剣聖殺し』討伐を目的とする軍隊によって襲撃された。なんとか脱出に成功するも、エリザたちは頼れる師・ヴァリエガータと離れ離れになり、さらには復讐に燃える剣聖ハヅキユキノシタの娘・サツキにより、手に入れた聖剣全てを強奪されてしまう。そして這々の体で商都リアトリスへとたどり着いた彼女たちに追い打ちをかけるかのごとく、最後の剣聖・ルピナスがおもむろにその姿を現す。だがルピナスは、臨戦態勢をとるエリザたちに思わぬ言葉を告げ――?
聖剣を巡る戦いはついに佳境へ突入!血と剣の物語、波乱の第3幕登場!


おおう、、、どこまで追い込むつもりなんだ。
今回の本題はサンデリアーナの覚醒で、本当なら「サンちゃんレギュラー化万歳!」とおちゃらけたいところだったのだけど、全くそんな空気じゃないんだな、これが。
師匠の不在だったり敵か味方か分からない剣聖が同行した旅だったり、エリザに生命の危機という大きなピンチがあった2巻と違い、小さな緊張状態がずっと続く重苦しい展開。
特にレベンスが自分の無力さを自覚していく場面が多く、窮地であってもやることがはっきりしていた2巻よりも焦燥感がずっと強い。じわじわと真綿で首を絞められているかのような感覚。
そんな苦しい道中だったのに、最後は谷底に突き落されるっていうね。
エリザが泣くことになる要素がさらに追加されただけでなく、レベンスの無力感にもトドメをさす 次がラストだという話なのに、次巻の冒頭でまず現在の窮地を脱する手段も想像出来ないんだが。
胃にずーんと重いものが圧し掛かってくるような3巻だった。最終巻に向けて一度屈んで後は飛ぶだけなのだけど、悪い方向に飛ぶフラグばかりが立っているので正直怖い。