いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「キノの旅 XIX ―the Beautiful World―」時雨沢恵一(電撃文庫)

キノの旅 (19) the Beautiful World (電撃文庫)
キノの旅 (19) the Beautiful World (電撃文庫)

「師匠は言った。"私の長い旅の中でも、最も印象に残っている国の一つだった。あの国のことは、忘れようとしても忘れられない"って」「なるほど。あのお師匠さんが詳細を語るのをもったいぶるくらい、とても素晴らしい国だったんだね! 」「または、一生忘れられないほど酷くて酷くて、ボクに伝えることすら憚られるほど、本当にどうしようもない国だったか……」キノが言うと、城壁が遠くに見え始めた。「さあて、どんな国だろう?」キノが楽しそうに言って、エルメスのアクセルを開けた。(「美しい記憶の国」他全12話収録)
"あとがき"は15周年スペシャル×××××!!

電撃の10月はキノの月。そうなってから12年目なんだそうな。そして祝15周年!



今回も時に滑稽に時にダークに、いつもの『キノの旅』。安心安定のクオリティ。
どれも人の性を謳ったり世相を反映したりとエッジの効いた話でありながら、嫌味や批判にならない絶妙なバランス感覚は流石の一言。「捨てる国・a,b」や「秀才の国」の、人をあっさりと切り捨てるダークな話はどの巻でもいくつかあるけど、これを後味悪くなく読めるのはキノの旅ならでは。
今回の一押しは、主人公を差し置いて大冒険をしていたフォトの話「助けに来た国」。厳しい現実を突きつけながらも優しい嘘で納得のいく答えを出す結末に、気持ちが晴れやかになる。
一押しキャラもフォト、と言いたいところだがこちらはティー
初っ端の「首輪の国」から正論過ぎてぐうの音も出ない爆弾発言をぶっ放し、「守る国」ではいつものアレをぶっ放して悪事を暴く大活躍。おまけにあとがき代わりの特別短編でもぶっ飛んでいた。でもこれティーじゃねえw
で、あとがきこれだけ? sgsw先生がこれで満足するはずがない。きっとどこかに隠されて……あれ?