いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ぶたぶたの甘いもの」矢崎存美(光文社文庫)

ぶたぶたの甘いもの (光文社文庫)
ぶたぶたの甘いもの (光文社文庫)

町の小さな稲荷神社の参道に、知る人ぞ知る「和菓子処しみず」はある。春夏秋冬、季節のスイーツを求めて暖簾を潜れば、絶品和菓子に、甘酒、おでんや焼きそばまで、旨いものが勢揃い。店の主人・山崎ぶたぶたにも、運がよければ出会えるはず。変わった名前だけれど、その正体は……? 疲れたとき、悩んだとき、ぶたぶたの作る甘~い和菓子で、ひと休みしていこう。


ぶたぶたさんシリーズ、安心と信頼の食べ物系。今回は和菓子屋さん。
のはずだったんだけど、、、団子はいいとして、田楽? 焼きそば? お好み焼き?
ちゃんとした和菓子も出てくるけれど、人気なのは和菓子以外ものなのには苦笑い。素朴なものの方が好まれるのはぶたぶたさんらしくて良いけどさ。
さて、お話の方は毎度おなじみ人の機微に触れて心がホッとする短編が全五話。
栗きんとんをきっかけに亡き旦那の思い出をなぞる「コーヒーを一緒に」が一番のお気に入り。泣いていた奥さんが笑顔になっていく様子が沁みる。
他には恋の予感を感じさせる『夏祭りの一日』は後日談が読んでみたい。また「ぶたぶたのおかわり!」みたいなの出てこないかな。
四話目の『昨日と今日の間』はちょっと毛色が違った。謎が謎のまま終わってしまって軽くホラー系? 父親でしたってオチだとばかり思っていたのに。
それでも最後は久々に登場の娘さんにほっこりしたので読後感は良好。今回も安心のぶたぶたワールドでした。