いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「サムライ・オーヴァドライブ ―桜花の殺陣―」九岡望(電撃文庫)

サムライ・オーヴァドライブ ―桜花の殺陣― (電撃文庫)
サムライ・オーヴァドライブ ―桜花の殺陣― (電撃文庫)

銃よりも、戦車よりも、"刀剣"が強き力を持つ"もう一つの現代"――。それらを受け継いだ少年少女たちによる、新時代の剣戟バトルの火蓋が切られる!
刀剣ヲタクが高じ、刀剣管理機構『SEAS』に籍を置いた少年・方助は、かつて自分の命を救った一振りの"業物"の使い手と邂逅する。しかし方助の記憶と異なり、その人物は年端もいかない少女で、さらに初対面の方助が本気で心配するほど世間知らずで気弱であった。だが、ひとたび愛刀に手をかけた少女・鳴の一撃はもはや"天変地異"の領域で――!?
第18回電撃小説大賞〈大賞〉受賞者、『エスケヱプ・スピヰド』の九岡望が放つ、大迫力“刀剣”バトルアクション!

あれ? こんなに説明下手だったかな? というのが率直な感想。
世界観の説明に追われていて、肝心のキャラクターの魅力が五割も出せていなかった気がする。剣をメインにしつつ、銃に暗器にバイクにと色々と詰め込んでいって収集つかなくなったのか、世界観を詰める時間がなかったのか。
前作でも最大の魅力だったバトルシーンの描写は相変わらず濃密。にもかかわらず、イマイチ燃えてこないのも多分その所為。前作では主人公側の登場人物達はもちろん敵役側も、彼らの信念や矜持をじっくり語った後で戦闘があったから圧倒的なバトルシーンが最大限に生きたのに、今作は今のところキャラクターの背景が分かりづらくて感情移入しきれない。まあ正直に言うと、そのバトルシーンもスピード感は失われていて鈍重さを感じていなくもないのだが。
あと、普段はあまり気にしないが悪いと目に付くのが挿絵。刀剣メインの物語なのだから、キャラクターはともかくせめて刀剣の絵をまともに描ける人に頼もうよ。挿絵のがっかり感が半端ない。
エスケヱプ・スピヰド』も受賞作の1巻は別にして、リスタートの2巻からだとスロースターターだったから伸び代は間違いなくあるんだろうけど、スタートは躓き気味かな。