いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ハッピー・レボリューション」星奏なつめ(メディアワークス文庫)

ハッピー・レボリューション (メディアワークス文庫)
ハッピー・レボリューション (メディアワークス文庫)

流され体質のOL夢子は、ゆるーい部署での生活に流され、仕事も恋もお留守気味。気づけば20代最後の日を目前にしていた。そんな帰り道、夢子は電車の窓に映る自らの顔がオッサン女子化していることを察知し、戦慄。慌てて仕事に恋に自分磨きを始める。
後輩男子・大喜名のアドバイス(という名の横やり)にもめげず奮闘する夢子だが、空回りの連続。折れそうな夢子の人生に起きた『革命』とは!?
チョコレート・コンフュージョン』著者が送る、ハッピー成分100%ラブコメ!

進学も就職も流されて生きてきた夢子が、30を前に危機感を感じ一念発起するも右往左往する物語。
三十路に入ったばかりの女性が主人公で、かつ会社にいる時がメインの話なので一応お仕事小説の類ではあるが、本人の悩みが仕事とはかけ離れていて、脳内では自分を叱咤する軍曹が幅を利かせていたりする、中身は常時ハイテンションなおバカなコメディ。
主体性がなく流されやすい夢子が、あっちにフラフラこっちにフラフラする様子にハラハラしたり、時にはイラっとしたりもするけれど、結果的には笑って終われるオチが待っている。あからさまな結婚詐欺しみたいの引っ掛かりそうになっても、撃退するのにアルキメデスを叫びエウレカを連呼するって、そんなん笑うしかないじゃん。くっそwww
そこに嫌味な上司や汚い同期などの嫌な奴はとことん嫌な奴に、尊敬できる先輩や懐いてくれる後輩など良い人はとことん良い人にと、人物を記号的に書き分けてあるところも相まって脳みそを空っぽにしながら楽しく読める物語になっている。いやマジで姐さん達がカッコいいんだ。
それでいて、失敗ばかりでも決して立ち止まらない夢子に元気を貰える一面もあるのが良いところ。
バカだなーと思いつつ、ガッツある夢子の姿にちょっと感動しちゃったりもする楽しい一冊だった。