レッドスワンの絶命 赤羽高校サッカー部 (メディアワークス文庫)
私立赤羽高等学校サッカー部『レッドスワン』。新潟屈指の名門は崩壊の危機に瀕し、選手生命を絶たれた少年、高槻優雅は為す術なくその惨状を見守っていた。
しかし、チームが廃部寸前に追い込まれたその時、救世主が現れる。新指揮官に就任した舞原世怜奈は、優雅をパートナーに選ぶと、凝り固まってしまった名門の意識を根底から変えていく。
誰よりも〈知性〉を使って勝利を目指す。新監督が掲げた方針を胸に。『絶命』の運命を覆すため、少年たちの最後の闘いが今、幕を開ける。
レッドスワンシリーズ待望の文庫化。単行本既読の自分は書き下ろし短編目当てで購入。
やっぱり『絶命』の世怜奈監督のインパクトは凄いわ。
試合の熱はこれからの方が上がっていくことを知っていて、青春模様はまだまだスタート地点だと知っているというのもあるが、『絶命』は世怜奈のアグレッシブな行動とセンセーショナルな発言の数々、そして溢れるサッカー愛を読むのが最も楽しい。
そして書き下ろし短編もそれを裏付けしていく内容だった。
世怜奈に反発していた三年生・鬼武の視点で語られる物語は、生徒の「サッカーを好き」という心を一番に考えたサプライズで胸が熱くなる。まあ、わざわざサプライズなのは彼女の嗜好も大いに含まれていると思うけど。
また、先を知っているからこそさらなる感動があったのが優雅の涙のシーン。
優雅の心が動き出したのはまさにこの瞬間だったんだなと。雛鳥が目を開けた瞬間に居合わせたのが世怜奈だった、と考えるのは流石に優雅に失礼か。これは心を奪われても仕方がない。ま、普通の高校生男子だったらこんな美人に抱きしめられただけで惚れちゃうけどねｗ
次回『星冠』。楽しみは決勝。
