いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「永遠の庭で、終わらない恋をする」マサト真希(メディアワークス文庫)

永遠の庭で、終わらない恋をする (メディアワークス文庫)
永遠の庭で、終わらない恋をする (メディアワークス文庫)

“――彼は、あの日の姿のままで現れた”
アラサーOL・香実の会社にやってきた新人は、幼いときに初恋をした不思議な青年の、当時のままの姿をしていた。十三年ぶりに訪れた奇跡の再会に、香実は想い出にある通りの、優しい彼に惹かれていく……でも……。
一体、あなたは何者――?
心のどこかで、繰り返される疑問。果たして青年“樹々”の抱える秘密とは。
彼の謎が明かされるとき、あなたもきっと、“永遠の恋”に巡り会える……。

28歳の仕事に追われるOLが、5歳にあった時から姿形が変わらない初恋の君に再開する物語。
逃げたっていいじゃない。人間、ダメだと思った時、どうにもならなくなった時は、素直に休息を取るべし。という作品の姿勢には大いに賛同する。するのだが、物語として面白かったかというと……うーん。
結局、彼はなんだったの?
まあ、木の精とかそういう類いの存在なのは想像つくけど、彼の正体に関しては物語の序盤から度々話題を振っていたから、投げっぱなしで終わったのは予想外。あらすじにも「彼の謎が明かさるとき」とあるから、明かしてくれるものだとばかり。
また、ブラック勤務、契約社員に降格、親友の結婚、尊敬していた元上司が一皮剥いたら糞野郎などなど、彼女に襲い掛かる現実の厳しさがリアルで身につまされる話だったのに、最後の最後で夢見がちな金持ちか年寄りの道楽のようなところ着地したのも、納得がいかない。それまでの苦労と我慢、荒れた生活はなんだったんだ(^^;
おかげさまで読後感が激しくモヤっと。