いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「この世界がゲームだと判明して100年が過ぎた Project【venturum saeculum】」奇水(電撃文庫)

この世界がゲームだと判明して100年が過ぎた Project【venturum saeculum】 (電撃文庫)
この世界がゲームだと判明して100年が過ぎた Project【venturum saeculum】 (電撃文庫)

自分たちがゲームの住人であると分かって、100年の年月が過ぎた。
――だが、世界はクリアされていない。冒険の意味さえも形骸化して、ただの「しきたり」と化していた。
成人の儀式『最初のクエスト』へと向かったミギアは、この世界では起こりえなかった未曾有の事態に直面する。
その窮地を救ったのは、凄まじい剣技を誇る、レベル1の剣士・ゼクー。自らをプレイヤーだと名乗るこの少年はいったい何者なのか――?
そして彼が解き明かそうとしている、この世界に隠された謎とは――?
100年ぶりのプレイヤーを迎え、閉鎖されたゲーム世界が変貌を遂げる!?

主人公が81歳の剣豪お爺ちゃんというのが、ライトノベルとして斬新だと思いました。
……すまない。これ以外に好意的な意見が一個も出て来ない(^^;





以下酷評
というかダメ出し


・世界観
借り物みたいな設定なのに穴だらけ。
某VRMMO作品のあのシーンやあのシーンを読んで思ったことを書きたかったんだろうな、と邪推してしまうくらいには自分の物語として消化できていない。そこにしか目が行っていないから、他が疎かになるのだろう。
まあ借り先が同レーベル作品だから電撃的には別にいいのかな。




・会話
最大のマイナス点。
プレイヤーの主人公(=外の世界の人間)とヒロインのミギア(=ゲーム内の人間)の常識と認識の違う二人の、噛み合うはずもない不毛な会話を延々と読まされる。その上、何もわからないミギアに募るイライラだけはしっかり描写されている。ひたすら苦痛。




・指示代名詞多すぎ問題
物語として先を楽しませるために「もったいぶる」のは当然の行為だが、謎を隠す/匂わす方法が「指示代名詞を使ってぼかす」という短絡的な方法か、もしくはさらに直接的な「途中まで言って止める」という方法しか見受けられない。単純に文章が下手だと感じた。
しかも、それで隠そうとしている真実は大体バレバレっていう。まあ、借り物の設定だから仕方ない。



・バトルシーン
折角剣豪が日本らしい剣術で戦うのに、その説明で四苦八苦。動きやスピード感がまるで感じられない。盛り上がりもない……のはそこに至る前に飽きていたからかも。