いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「公園で高校生達が遊ぶだけ」園生凪(講談社ラノベ文庫)

公園で高校生達が遊ぶだけ (講談社ラノベ文庫)
公園で高校生達が遊ぶだけ (講談社ラノベ文庫)

瀬川エリカと俺、吾妻千里は昔からの幼馴染みだ。
小学校でも中学でも、そして高校でも、瀬川と俺は、公園で遊ぶ。ダベったり、野球をしたり、走り回ったり、ちょっと喧嘩したり。
「とりあえず吾妻の中で、わたしを可愛さピラミッドの頂点に設定するといいよ。そうすればわたしを通して“可愛い”がわかる」
「瀬川を可愛さピラミッドの頂点に設定すると、具体的にどうなるんだ?」
「わたしに似てれば似てるものほど、吾妻は可愛いと認識しだすよ」
「じゃあ、電卓とかも可愛く見えんのかな」
「ちょっと待って。吾妻の中でわたし、電卓なわけ?」
そして今日も公園で、高校生の何気ない日常が紡ぎ出される――。


徘徊癖のあるやる気のない高校生吾妻くんと幼馴染みの美少女瀬川さんと愉快な仲間たちが織りなす、公園内駄弁り小説。
タイトルは「遊ぶだけ」だが、8割は駄弁ってて残り2割が遊んでいる。でも高校生たちがワイワイしているだけなのは本当。ワイワイと言っても、パリピ感とかそういうものとはほど遠く、小学生の延長戦のような気安さがありつつ、それでいて異性は異性としてちゃんと認識している、濃いような薄いような奇妙な関係性。それが「凄く良い」という瞬間的な楽しさではなく、「なんとなく良い」が長く続く居心地のいい空間を作り出していた。これはある意味、理想の仲良しグループの形なのかも。
ただ、読み終わって思い返していみると、半分以上幼馴染みカップルの惚気話だったような気がしている。
幼馴染み(美少女)を前に可愛いとは何かと問う男、私を基準に考えればいいという女。お互いに寝る前のラフな格好で、ちょっとしたスキンシップにイヤホンシェアまでナチュラルにこなす関係。うん、やっぱり1話からしておかしいな。その後も双方どれだけ相手が好きかということが、遠回しに語られている話が多数。終盤のヤキモチ合戦もなかなかだったけど、交換日記が一番強烈。期間といい内容といい、羨まし恥ずかし(語呂が悪い)。これはもう、友人たちからして後ろでニヤニヤ見守りたくもなりますわ(=表紙)
そんなわけで友人関係でも男女関係でも、終始「お前らホント仲いいな!」と笑顔で読める一冊だった。