いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「あそびのかんけい3」葵せきな(富士見ファンタジア文庫)

あそびのかんけい3 (ファンタジア文庫)

「私、歌方月乃と交際して頂けたら重畳です」
嘘の想い人である月乃から突然の告白を受けた常盤孤太郎。
両者合意のもと、二週間の返答期限を設けることになるも孤太郎は真の想い人――小鳥遊みふるに「さっさと付き合えばいんじゃね、バンジョー」と嫌みを言われ……。また、孤太郎に会うため連日『クルマザ』を訪れていた月乃には天敵が現れる。
「別に常盤が心配とかじゃないのよ。まぁ常盤の恋愛には随時介入するけど」
事情を知った半杭の提案により、運命の日に『どういうデートをするかの権利』を懸けた絶対に負けられないボドゲ勝負が幕を開ける! 予測不能な勝者と告白の結末は――


(思い込みで)負けヒロイン(ムーブするヒロイン)が多すぎる!
突然の告白で盤面を掻きまわした月乃は初めから玉砕覚悟、というか何もせずにフラれるのを阻止しただけで、始まる前から負けを確信してしまっている有様。勝ち確メインヒロインは好きになった経緯の問題もあって、身を引く覚悟ガンギマリ状態。さらには武士にも、若干半杭にも常盤を想う気持ちがあふれているシーンがあって、でも一歩引いたポディションで傍観する構えで・・・。
冒頭のネタにした某作品のヒロインたちと違って、女の子として残念な要素がないのに、みんながみんな「想う相手が幸せならそれでいい」と自ら負けに行っている優しい子たちの秘めた本心が読んでいて胸が痛い。
折角の水着回なのに全然ひゃっほいって気持ちにならないぞ、こんちくしょー。口絵は素晴らしかったけども。
そんな悲しい恋模様が繰り広げられていた先で明かされる今回の仕掛けは、当然の如くその悲しさを加速させるもので。
みふるさん、それを気付けって言うのは無理があるよ。それでなくても察しの悪いバンジョー相手なんだから。そんなの読み返した読者が泣くだけだよ。
作者は今回も「メインはラブコメ」を強調していたけれど、「コメディでしたか?」と聞きたくなる、切なくビターな恋模様だった。
普通に行くと勘違いとすれ違いでみんなが不幸な結末を迎えそうな展開なのだけど、またアンタッチャブルな方法で盤面をひっくり返してくれるだろうから、そうはならないことは確信している。次はこの優しい子たちが笑顔になる話だといいなあ。