「阪急電車」有川浩(幻冬舎)
電車は、人数分の人生を乗せて、どこまでもは続かない線路を走っていく――
片道わずか15分。
そのとき、物語が動き出す。
阪急今津線内で起こるエピソードを駅の順にまとめた短編集。それぞれの登場人物がちょっとずつ影響を与え合う連作形式。
この作者らしい甘さの中にちょっとだけ現実という苦味が加わってチョコレートみたい・・・いやココアかな?(“文学少女”風w
やっぱり甘〜い。でもそれ以上にホッとする、心温まる物語の数々だった。これはどうしたって頬が緩む。それもニヤニヤというよりはニコニコといった風に。まぁニヤニヤしてしまうシーンもあるのだけどw
どの話、どのキャラも好きだけど、お気に入りはおばあさんと美帆。
曲がった事が嫌いでなかなか好戦的。自分の正義にしたがってズバズバと意見をするその姿は、毅然としていてカッコいい。それでいてその言葉には彼女なりの気遣いが込められているから、声をかけられた登場人物たちは自分を見直すきっかけになるし、読んでいるこっちは心温まる。こういうのが本当の優しさなんだろうなぁ。受け取る側が素直なのが絶対条件になってしまうけど。でも素直じゃない人間が多いから実際に居たらうざがられるんだろうな、残念ながら
次に美帆。ニコニコではなく一部ニヤニヤの原因はこの人。その天然っぷりがただひたすら可愛い。これは彼氏がビョーキになってしまうのも仕方ない。
ちょっと幸せをお裾分けしてもらった気分。いい読書時間だった。
〜つぶやき〜
55頁の「ほっこり」は疲れたって場面じゃないから誤用?
自分も感想に使おうとして一応調べたら、間違って認識していた事に気づいた。