いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「天穹のカムイ」ハセガワケイスケ(電撃文庫)

天穹のカムイ (電撃文庫)
天穹のカムイ (電撃文庫)

神さまが人間の願いを叶えるとしたら、神さまの願いを叶えるのは誰なんだろう。

タケルは、夢の中でしか会えない少女に恋心を抱く中学2年生。ある日戦渦に巻き込まれた彼は、“天使”に囲まれ舞い降りる、機械の羽を持った少女に助けられる。
「あたしは、タケルの『神さま』だから」
そう言う少女の虹色をした瞳はあまりにも澄んでいて、この天穹(そら)みたいに煌々(きらきら)してた。──この感覚を初恋というのなら。きっと、たぶん、そうなんだろう。


エヴァ以降量産された生物系ロボットアニメを見ているようだった。
そこにドーラ一家(天空の城ラピュタ)とスウ(CLOVER (CLAMP))を組み込んでみました。みたいな。とにかくいたるところで既視感に襲われる。
内容はお得意の切ない系だが、救いがないので後味苦め。
中途半端なままでタケルに会えなくなってしまったナツミの想いも、「ごめんなさい」ばかりで一度も「ありがとう」と言わなかったカムイの想いも、胸を締め付けられるような切なさはあるのだがそれ以上はない。・・・このオチもどこかで読んだことあるような気がするんだよな。どこだったかなあ。
何かしら伝えられてから別れを迎えてくれれば、もう少し違った読後感になったのだろうけど。「しにがみのバラッド。」6巻に次ぐ後味の悪さ。
そんなわけであまり素直に楽しめなかった一冊。