いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



お届き物

「マ・オー ―魔王、日本が舞台のオンラインゲームを始める―」夏寿司(GA文庫
GJ部 中等部 (3)」新木伸ガガガ文庫
「飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜2」手島史詞ガガガ文庫



3冊なのにメール便じゃなく宅急便だった。ありがたいけど、なぜに?

「マグダラで眠れ II」支倉凍砂(電撃文庫)

マグダラで眠れII (電撃文庫)
マグダラで眠れII (電撃文庫)

異教徒最大の鉱山の町カザンに、近々入植があると気づいた錬金術師のクースラとウェランド。それは、工房のある町グルベッティが戦争の最前線でなくなることを意味していた。二人はなんとかカザン入植の波に乗るべく、手柄を立てようと画策する。
そんな時、二人のもとに“伝説の金属ダマスカス鋼”の噂が舞い込んでくる。どうやら鍛冶屋組合の若き長である少女イリーネが、その金属の秘密を知っているというのだが──。
眠らない錬金術師クースラと白い修道女フェネシスが紡ぐ、その「先」の世界を目指すファンタジー。シリーズ第2弾!!


なんだなんだ2巻からすでに甘いぞ。
今いる町が最前線でなくなる=自分たちの立場が危うくなると考えたクースラとウェランドが、生き残るために新たな手柄を求める――というのが一つの大きな話の流れで、そちらもちゃんと進行はしていたのだけど、内容の八割はクースラとフェネシスのやり取りだった。
これまでの過酷な人生ゆえに何かに寄りかからないと生きていけない危なっかしいフェネシスに、クースラが直接言葉にしたり搦め手を使ったり、優しくしたり突き放したりとあの手この手でフェネシスを一人でも立てるように世話を焼くというやり取りが続く。ここでクースラが語る人生論がなかなか含蓄があって考えさせられたり(特に目的の話は耳が痛かった)、段々とまともな切り返しが出来るようになっていくフェネシスに成長を見たり。
と、台詞に目を向けると真面目な内容に思えるのだけど、これが少し視点を離すと、クースラとフェネシスの関係が好きな子をからかって楽しんでいるようにも、子猫とじゃれて遊んでいるようにも見えるという微笑ましい光景に。それに対するフェネシスの反応も一々可愛いものだからニヤニヤとほっこりを行ったり来たりで、読んでいて楽しいことこの上ない。
テーマである錬金術の部分は1巻に比べるとかなり少なめながら、所々で出てくる「フェネシスと一緒に学ぶ錬金術の基礎」的な内容が興味深くて面白い。
ストーリー的には「次への準備」と「関係の構築」がメインで変化が少なく地味だったけど、後者が濃くて面白かった。次は鉱山町カザン編なのかな。イリーネの立ち位置どうどうなるかが気になるところ。