いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「見習い神官レベル1 〜でも最凶の嫁がいる〜」佐々原史緒(ファミ通文庫)

見習い神官レベル1 ~でも最凶の嫁がいる~ (ファミ通文庫)
見習い神官レベル1 ~でも最凶の嫁がいる~ (ファミ通文庫)

ヨシュア・バレクは神官養成機関「星紺の塔」きっての落ちこぼれ。何せ神官の必須技能、神魔を喚び出し使役する「魔操」が全く出来ないのだ。だが実は彼には秘密があった。暗殺組織「赤晶旅団」出身の元・暗殺者、しかも強大すぎて召喚を禁じられた位階一桁の神魔・雷凰スーリィンと婚姻の契約を結んだ身。バレたら破門、最悪は処刑――そんな秘密を隠し、暴走する嫁の手綱を取りつつ、一人前の神官を目指すヨシュアだが……!? 学園バトルファンジー開幕!


佐々原先生の新作は「トワイライト・トパァズ」以来の純ファンタジー
ファンタジーでも独特の軽い口調+地の文は健在。やはり楽しい、くせになる。


物語の最大の特長は主人公・ヨシュア。元暗殺者の落ちこぼれ神官見習い――まあ居そう(もちろんラノベではの話)。既婚者――珍しい。性格が「おかん」――!??
十二、三歳の同級生の中で一人十六歳という状況と他人をほっとけない性格から来るおかんという印象なのだが、出てくる台詞の小学生のお母さんぽさには笑う。また周りも絵に描いたようなクソガキばかりで、生意気な彼らと口うるさいヨシュアのコメディはちょっと他のラノベにはない面白さ。
また、既婚者=嫁(といっても人外だが)スーリィンの存在感もなかなか。
強く位も高い、もっと偉そうに振る舞って我がまま言い放題でもおかしくない立ち位置なのに、わがままは小さくて可愛らしい、大人の容姿なのに仕草は子供っぽくて可愛い、ヨシュアに寄り添う姿はいじらしい。これは旦那は無理を承知で頑張りますわ。 
そして最後は元暗殺者という肩書が物語をグッと引き締める。
血の赤が場の空気を思いっきりシリアスに、ピンチからの大逆転に同級生の子供たちの等身大の頑張りと燃える要素もありで、終盤の盛り上がりも申し分なし。
面白かった。続きは売上次第らしいので皆さまこぞってお買い求めください(←露骨w