いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ファイフステル・サーガ2 再臨の魔王と公国の動乱」師走トオル(富士見ファンタジア文庫)

ファイフステル・サーガ2 再臨の魔王と公国の動乱 (ファンタジア文庫)
ファイフステル・サーガ2 再臨の魔王と公国の動乱 (ファンタジア文庫)

「許せないわ。わたしたちの結婚式であなたを殺すなんて」フライスラント軍の撃退に成功したカレルだが、その武勲とセシリアとの結婚を快く思わない何者かの暗殺が計画される。「こうなったら未来を変えるべく行動するしかない」犯人の手がかりを求めてカレルはドワーフの国へ向かうが、黒幕の策略はすでに二重三重に仕掛けられていた!そして公国に広がる動乱は、二人の英雄を引き合わせることに!「カレル、おまえにはせいぜい苦労してもらうとしよう。なに、少しぐらいなら手伝ってやる」カレルとヴェッセルの邂逅は歴史を大きく動かす――!

予知夢によって自身の暗殺計画を察知したカレルが奔走するシリーズ第2巻。
ダブル主人公の物語ではあるが今回は、ゆくゆくは魔王軍の矢面に立ち、物語のメイン舞台になるであろうアレンヘム公国の国内情勢がメインだったので、カレルの動きを追っていることが多い回。話は、前回に引き続きアレンヘム公国を狙うファクトル総督の謀略第二弾に、国内有力貴族の裏切りの連鎖が複雑に絡み合う、アレンヘム動乱編。
目まぐるしい状況の変化にワクワクしつつ、流石のカレルも翻弄されっぱなしでハラハラもする、カレル本人にはたまったもんじゃない、読者には理想的な展開。しかしこれが、いざ戦となると切れ者主人公の頭角を現してくれるから面白い。若者らしい愚直さや詰めの甘さを見せつつ、図抜けた頭脳と度胸でそれ覆していく。やっぱり好きなタイプの主人公だ。
もう一人の主人公ヴェッセルは、少ない出番のシーンの結びの言葉で、この後苦労することが何度も予告されているので、今後に期待ということで。
と、今回も間違いなく面白かったのだけど、主要人物たちの念頭にあるのが魔王軍との戦いや魔王討伐なのに、やっていることが人間同士の小競り合いなので、前座感というか思いの外スケールが大きくならなかったがっかり感は少しある。
でも、次こそ灰エルフとの戦いがありそうなので、対人間とは違った戦いの様子と、カレルorヴェッセルの活躍に期待したい。



で、お子様には秘密のシーンの公開はまだですか? (・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン