いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



影の皇子―タザリア王国物語〈1〉 (電撃文庫)

タザリア王国物語 影の皇子」スズキヒロシ(電撃文庫
タザリア王国物語 影の王子

小国ひしめきあうバルダ大陸。そのひとつ、タザリア王国の片隅にて。今、ひとりの少年が王宮へと連れていかれようとしていた。その瞳に聡明な光を宿す彼の名はジグリットといった。彼はこの国の皇子とまったく同じ顔をしていたのだ。
出自の悪さゆえ、王宮では蔑まれる彼だったが、その明晰な頭脳が認められ、皇子の影武者として育てられていく。皇子と同じ知識を学び、同じ武術を学ぶ。次代の王となるに必要なすべてを――。
そして転機がやってくる。「双子の月の片方が砕ける」という不気味な予言。それが現実となる時、ジグリットは歴史の激動の渦にのみこまれていくのだった!

壮大なスケールで描かれる正統派戦記ファンタジー。皇子の影武者として育てられるジグリットの物語。380頁超のページ数に加え、会話は少なめなのでかなりのボリュームがある。


はっきりいってあまり期待してなかったのだが(失礼 予想以上に良かった。
話の作りは戦記ものとして非常にスタンダードな作りではあるが、キャラも世界観も(特に後者が)作りこまれているし、主人公のジグリットが喋らないためか、淡々とした流れで叙事詩のような雰囲気がある。そのため大物感が漂うというか大作を予感させる雰囲気がある。
またこの物語のもう一つの楽しめるポイントは、リネアのヤンデレとファン・ダルタのツンデレ。特にリネアはジグリットにシンデレラの継母のようなイジメをしているのにも関わらず、異常なまでの執着をみせたりとなかなかのヤンデレっぷり。
戦記ものとして続きが気になると共に、この先リネアがどんな行動に出るかが楽しみ。