いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



ぜふぁがるど (電撃文庫)

「ぜふぁがるど」柴村仁電撃文庫
ぜふぁがるど (電撃文庫 し 9-9)

皆さんどうもこんにちは、菅沼宙(ひろ)です。俺はこれまでの十五年間、胸を張って「いたって普通!」と言い切れるような人生を歩んできたつもりですが、約一ヶ月前から、突如現れたネ・プルギス・ヤーと名乗る謎生命体の陰謀により、「牙臣ゼファガルド」とゆーのに変身できるよーになりました。……うん、何を言っているか分からないと思います。言ってる俺自身も自分が何を言ってるかよく分かりません。でもこれは事実なのです。世の中って、アレだよな、不思議でいっぱいだよな。
というわけで、『我が家のお稲荷さま。』の柴村仁が放つ、おとぼけヒーロー噺、開演です。

菅沼宙少年(高一)が幼馴染の安芸野鳴(表紙のメガネっ娘、同じく高一)を守る為に戦う変身ヒーローもの。
「アニメや特撮に興味のない高校生が変身ヒーローにさせられたら、当然こういう反応になるよな」ってことを『我が家のお稲荷さま。』の作者らしいセンスで面白おかしく綴る、脱力系変身ヒーロー。


これはいい脱力感。このゆるくてほんわかした空気はホント“らしい”なぁ。
幼馴染ヒロインとの関係とか、分かりやすい敵対構図とか各種設定はかなりベタだけど、ケンカが強く気まぐれで物怖じしない性格(『我が家のお稲荷さま。』のクーと昇を足して2で割ったような性格)適度にやる気のない主人公の宙がいい味を出している。高校生らしいプライドと恥じらいのを持った宙と、違う世界の住人のくせに特撮ヒーローもののお約束にこだわるネルの会話はまさにコント。
新シリーズのスタートということで敵もぬるいし謎も多いけど、物語冒頭として十二分の面白さ。


一つ注文を付けるなら、日常部分の挿絵が多いのでもうちょっと戦闘シーンの挿絵が欲しい。敵の姿が文章だけだと想像しにくい。