いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



MAMA (電撃文庫)

「MAMA」紅玉いづき電撃文庫
MAMA (電撃文庫 こ 10-2)

海沿いの王国ガーダルシア。トトと呼ばれる少女は、確かな魔力を持つ魔術師の血筋サルバドールに生まれた。しかし、生まれつき魔術の才には恵まれなかった。
ある日トトは、神殿の書庫の奥に迷い込んだ。扉の奥から呼ばれているような、そんな気がしたから。果たしてそこには、数百年前に封印されたという<人喰い>の魔物が眠っていた。
トトは魔物の誘いにのった。魔物はその封印から解き放たれ、トトは片耳を失った。そして、強い強い魔力を手に入れた―――。
これは、孤独な<人喰い>の魔物と、彼のママになろうとした少女の、儚くも愛しい歪んだ愛の物語。

ミミズクと夜の王」以来一年ぶりの新刊。


ううっ、また泣かされた。
世界観とかキャラの立ち位置とか「ミミズクと夜の王」とほとんど同じ路線だったので新たな感動はなかったけど、物語に引き込む力はさすがの一言。心の傷の見せ方使い方がホント上手いなぁ。ある意味卑怯だなとも思う(悪い意味ではなく
「MAMA」も良かったが、個人的にはその後日談的な短編「AND」の方が良かった。
この話の主人公であるダミアンの妹ミレイニア。これまでの主人公と同種の純粋さを持ちながらも、これまでの少女達とは違う地に足の着いた感じの彼女の姿に惹かれた。それに「ミミズクと夜の王」や「MAMA」とは違う、少し安心感のある幸せを感じさせてくれるラストも良かった。
前作に続いて泣けるいい話だったけど、次はもう少し毛色の違う話が読みたい。